ドクターX 外科医・大門未知子 第4話 (2021/11/4放送) 勝手にまとめと検証 ~新しい治療法の選択と 医者のインセンティブ

医者雑談

こんにちは!
ドクターコンちゃんです!

ドクターX 外科医・大門未知子 第4話 (2021/11/4放送)について
また勝手にまとめました!

(ネタバレありますのでご了承を)

今回、ボクの仕事とは
あまりに畑違いの治療法ばかりで
一次情報を持たない身としては
正直、あまりその内容の是非について
論じるのは難しいです。

(なのであくまで感想っぽい感じです(^^;))

ホウ素中性子捕捉療法(BNCT)?

そもそも、
今回の患者さん(ミュージカル女優)の
甲状腺癌に対して内科が行った
ホウ素中性子捕捉療法(BNCT)というのも
かなり新しい治療で
良く知りませんでした(^^;)
(興味のある方はリンクからどうぞ)

この甲状腺癌は
周囲の反回神経などに浸潤しており、
なるほど手術で治すより
上記のBNCTなど内科的治療の方が
適していそうです。
(BNCTの有効率はどんなもんかは知りませんが)

女優だけに、
オペで首に傷を残したくないという
患者さんの希望にも
マッチしていますし。

小切開MHM法?

ただ最終的には、
小さくなった甲状腺癌を
大門未知子がオペで取るんですけどね(^^;)

鎖骨のあたりを切って
皮下組織を通って甲状腺に到達する
小切開MHM法(muscle hanging maneuver with bidirectional retraction)
っていう方法だそうです。

これなら首に傷はできませんしね。

でも説明読むと
結構難しそうな術式なんで、
個人的には
BNCTで治るもんなら
そっちの方が良い気もしますが。

またもや診断バイアス

そしてまたまた今回も、
内科が見逃した肺尖部の癌についても
大門未知子がオペしちゃいます。

だから勝手にオぺせずに
内科に肺癌のコト教えて、
内科から本人に伝えてもらってから
オペすりゃいいのに・・・

内科が見逃したって事態は
ヘタすりゃ訴訟もんですぞ。

さてさて、
またもや他の医師が見逃した疾患を
大門未知子が見つけて治療パターンですが、
やっぱりいろんな診断バイアスに陥ってるワケですね。

(診断バイアスについては、以前の記事
『後医は名医」という悲しい現実の、それらしい理由』
『ドクターX 外科医・大門未知子 第2話 (2021/10/21放送) 勝手にまとめと検証 ~今回もツッコミどころ満載!?診断バイアスと認知的不協和』
でも紹介してます。)

新しい治療法選択と医者のインセンティブ

それプラス今回大事なのは
新しい治療法の選択には
医者のインセンティブ(誘因)が働く
ってことですね。
(インセンティブの理解については以下の本がおススメ)

以前の記事
『新しい手術法と従来法、どちらを受けるべきか?!~ラーニングカーブの功罪~』
でも書きましたが、

新しい治療法の実績は
学会や論文で発表し
日本や世界で名を売るための
またとないチャンスなんです。

もちろん医者側は
患者さんのために良かれと思って
新しい治療法を選択しているつもりですが、
医者本人も半分無自覚に
自分のために選択していることもあります。

まだ誰もやっていない
希少性の高い方法のアピールは
自分自身の希少性を高めることになりますから。

(もちろん、
患者さんをより良く治したいとか、
単に新しいものへの好奇心とか
そういうインセンティブも働きますが)

実際にドラマの中で内科トップが
「未来の医療を見ている」
と何度もあからさまに発言します。

言い換えれば
「未来の医療を築いたという自分の姿を見ている」
というコトかなと。

最後に大門未知子が
「新しい治療に都合のいい病気だけを見て
他の病気を見逃している」
というようなことを言い放ちますが、
まさにその通り。

名誉に目がくらむ(診断の目が曇る)とは
まさにこの事かと。

この新しい治療をしてみたいという
医者のインセンティブは
患者さんのためなのか
自分のためなのか
医者は敢えて分けて考えないといけません。

これを意識的にせよ
無意識的にせよ
ごっちゃにしてしまうと
新しい治療法の適応を
どんどん拡大することになり、
拡大され過ぎた適応の先には
必ず不幸になる患者さんが生まれます。

本来なら適応すべきでない患者さんにも
おこなってしまうからですね。

ただし、新しい治療の
行き過ぎた適応拡大というのは
必ず起きるものであり、
その反省から
適正な範囲というのが生まれるのも事実です。

かと言って
慎重になりすぎて
新しい治療を全く導入しないのでは
結局目の前の患者さんの不利益になります。

ボクらとしては
そこらへんに注意して
自分を客観的に判断しながら
慎重に新しい治療を取り入れていかねばならないなと思います。

いつもこのドラマ見て思いますが
医者目線だと
やっつけられる方の立場もよく分かります(^^;)

製作者の意図とはズレてるかもですが
こうやって深く考えると
内省の良い機会になるなと。

しかし考え過ぎると
せっかくの娯楽ドラマが面白くなくなっちゃいますよね。

ドクターコンちゃん
ドクターコンちゃん

たかが娯楽ドラマで
反省もしちゃうオレ・・・
そんな自分が、結構スキだ・・・

後ろで見つめる通りすがりの妖精
後ろで見つめる通りすがりの妖精

たかが娯楽ドラマで
いつも考え過ぎだよ、コンちゃん・・・
(ていうか、ちょっとキモイよ・・・)

・・・というワケで、
最後まで読んでくださって、
ありがとうございました~!!!

参考資料:

公益財団法人 医用原子力技術振興研究財団ホームページ ホウ素中性子捕捉療法(BNCT)とは

鳥正幸先生のウェブサイト きめ細かな配慮の甲状腺標準手術(癌における新Tori法:小切開MHM法とともに)

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