腰椎椎間板ヘルニアと腰部脊柱管狭窄症合併例の治療法

せぼねの話

こんにちは!
ドクターコンちゃんです!

今回は
腰椎椎間板ヘルニアと腰部脊柱管狭窄症の
2つの疾患が合併している時の治療法について解説します。

疾患の説明

腰の背骨(腰椎)の構造

腰の背骨(腰椎)の図です。

腰椎の真ん中はトンネルになっていて
脚に行く神経の束が通っています。
この神経の通り道を脊柱管といいます。
(腰の脊柱管なので腰部脊柱管)

前方には骨と骨に挟まれた椎間板というクッションがあり、脊柱管の後ろには黄色靭帯という壁があります。

腰椎を横から見た図(左がおなか側)
腰椎を後ろから見た図

腰椎椎間板ヘルニア

腰椎椎間板ヘルニアとは
前方の椎間板が神経の通り道に飛び出してきて
神経を圧迫する疾患です。

主な症状は
腰痛、脚の痛み・痺れです。

椎間板ヘルニアの模式図(横から見た図。左がおなか側)

腰部脊柱管狭窄症

腰部脊柱管狭窄症とは
神経の通り道(脊柱管)の後ろにある黄色靭帯が分厚くなり、
後ろから神経の通り道を圧迫している状態です。

主な症状は
長く歩いた時の脚の痛みやしびれです。

腰部脊柱管狭窄症の模式図(腰椎を横から見た図。左がおなか側)

腰椎椎間板ヘルニアと腰部脊柱管狭窄症合併例

腰部脊柱管狭窄症と腰椎椎間板ヘルニアが合併すると
図のように前と後ろから神経が挟みうちになります。

通常、腰部脊柱管狭窄症は長年かけて発生し、
そこに椎間板ヘルニアが急激に発生することで
症状が出現すると思われます。

または、もともと軽いヘルニアを持っていたところに
年齢とともに腰部脊柱管狭窄症が合併してくることもあります。

症状としては
腰部脊柱管狭窄症と椎間板ヘルニアの両方の症状が合わさったようなものになりますが、いずれかの症状がメインになることもあります。

腰部脊柱管狭窄症と腰椎椎間板ヘルニア合併例(横から見た図。左がおなか側)

治療はどうするか

保存的治療

まず、腰椎椎間板ヘルニアについては
体がヘルニアを分解吸収し、自然に治る場合も多く
鎮痛剤やリハビリテーションなどで症状を和らげているうちに症状が改善してきます。

腰部脊柱管狭窄症根本的に原因を取り除くには手術しかありません
ただ症状に波があり、
やはり鎮痛剤やリハビリテーションで痛みを和らげているうちに
症状が軽くなっていく人もおられます。

つまり、2つの疾患が合併していても
最初はいずれか1つだけの疾患の場合と同様、
手術以外の保存的治療を試すことになります。

ヘルニアがメインの場合はコンドリアーゼ注射も選択肢となる

腰部脊柱管狭窄症の程度が軽く、
腰椎椎間板ヘルニアによる症状がメインの場合は
ヘルニアに対するコンドリアーゼ注射も選択肢の一つになります。

ただし、ヘルニアが治ったとしても腰部脊柱管狭窄症はそのまま残るので
ヘルニア単独の場合と比べて症状が良くなる確率は低くなります

手術治療

腰部脊柱管狭窄症にしても腰椎椎間板ヘルニアにしても
保存的治療で症状が良くならなければ手術の適応となります。

手術法は、それぞれの疾患に対しての治療を同時に行うことになります。

通常は、後ろから骨を部分的に削り、
黄色靭帯を取り除くことで
腰部脊柱管狭窄症の治療を行います。

腰椎を後ろから見た図

続いて、神経の前方にある椎間板ヘルニアを取り除きます。

これらの操作により、前も後ろも神経の圧迫が取り除かれます。

手術前の模式図(横から見た図。左がおなか側)
手術後の模式図(横から見た図。左がおなか側)

まとめ

腰椎椎間板ヘルニアと腰部脊柱管狭窄症合併例の治療法について解説しました。

意外と多いのは、
他の病院で腰椎椎間板ヘルニアとだけ言われて
腰部脊柱管狭窄症の存在を指摘されていない方です。

どちらの疾患にせよ、
保存的治療は似たようなものなので
正しく診断されていなくても良くなる可能性はあります。

ただ手術となると
ヘルニアだけ取り除く方法では不十分なこともありますので
専門医にしっかり診断してもらい
最適な術式を選んでもらいましょう!

最後まで読んでくださって、
ありがとうございました~!!!

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