頚椎椎間板ヘルニアの手術法5選!!!

せぼねの話

こんにちは!
首が痛かったり、たまに手が痺れるのは職業病だと自分に言い聞かせてる、受診嫌いのドクターコンちゃんです!

さて今回は、頚椎椎間板ヘルニアの手術について簡単にご説明します!

頚椎椎間板ヘルニアについて

頚椎椎間板ヘルニアについての説明は、過去の記事『貴景勝関も受傷した頸椎椎間板ヘルニアとは!?』もご参照ください。

貴景勝関が受傷した頚椎椎間板ヘルニアとは!?

頚椎椎間板ヘルニアの治療

さて、頚椎椎間板ヘルニアも、腰椎椎間板ヘルニアと同じく、自然に治ることが期待できます。

自然に治るまでの期間、痛みを抑えるため、鎮痛剤や注射、リハビリテーションなどが行われているワケです。

それでも治らない人には、いよいよ手術が必要となります。

頚椎椎間板ヘルニアの手術法5選

大まかな分け方としては、首の前から行う前方法と、後ろから行う後方法があります。

術式について、病院や術者によって、いろいろな呼び方をしていることがありますが、
ざっくりこの5つと言っていいと思います。

頚椎椎間板ヘルニアの手術法

<前方法>
・頸椎前方除圧固定術
・頸椎前方椎間板摘出術
・人工椎間板置換術

<後方法>
・後方椎間孔開放術
・後方椎間板摘出術

前方法

頸椎前方除圧固定術

世界的に言って、頚椎椎間板ヘルニアの手術と言ったら、ほとんどコレです。

術後成績と汎用性において、もっとも実績があると言えます。

やり方は、以下の通りです。

①首の前の皮膚を数センチ切って、首の骨の前方に到達する。
②椎間板をヘルニアごと取り除く。
③椎間板がなくなった隙間に、ブロック状の骨、または人工物のブロック(ケージと言います)をはめ込む。
④金属のプレート(薄い板)を表面に当てて、スクリュー(ネジ)を骨に入れて固定する。

下の図は、横から見た模式図です。

図の左側がお腹側になります。

椎間板ヘルニアの模式図(横から見た所)
前方除圧固定術の模式図

このやり方が一番一般的ですが、一か所固定してしまうと、将来的に隣の椎間板や関節が傷んでくるという、
隣接椎間障害というのが問題視されています。

そのため、隣接椎間障害を防ぐため、固定しないという、以下のいろいろな方法が開発されてきました。

ただ、どれもやや難しいというのと、すべての症例で適応があるワケではありません。

また、以下の方法で上手くいかなかった場合には、結局、前方除圧固定術の適応になることが多く

「それなら最初から前方除圧固定術でいいじゃん!」というドクターも多いかと思います。

それが、前方除圧固定術以外の方法がメジャーにならない一因とも言えると思います。

他の方法についても、簡単に説明していきます。

頸椎前方椎間板摘出術

かなり大雑把に説明しますが、前方除圧固定術と違って、椎間板全部を取り除きません。

前の方から骨を削って行って、ヘルニア部分に到達し、ヘルニアのみ取り除く、というやり方です。

前方椎間板摘出術の模式図

椎間板全てを取り除かないので、固定しないで済む、という利点があります。

ただし、すべてのヘルニアに適応できるわけではないと思います。

また、安全、確実に手術を行うにあたっては、非常に難しい手技の一つと考えます。

(要は慣れていないと、危険だし、手術時間が長くなるし、うまく症状が取れない可能性がある)

よって、限られた施設、術者によってのみ好まれて行われているモノです。

人工椎間板置換術

この方法は、日本で最も最近導入されたものです。

手術のやり方は前方除圧固定術に似ています。

椎間板を取り除いた隙間に、人工椎間板という、関節のように動く人工物を入れるものです。

人工椎間板の模式図

関節のように動き、固定されないという利点がありますが、すべてのヘルニアに適応できるワケではありません。

また、長い期間経過すると、新しい骨ができて、
最終的に前方除圧固定術と同じようにくっついて動かなくなってくるという報告もあります。

また、そのせいか、将来的な隣接椎間障害も、必ずしも防げるわけではない、というデータもあります。

「じゃあ、最初っから前方除圧固定術でいいじゃん!」と考えるドクターも多いかと。

そういった背景のせいか、適応症例の少なさのせいか、

輸入元のアメリカでも、それほど多く行われていないのが現状のようです。

後方法

後方椎間孔開放術

首の後ろの皮膚を切開し、頸椎の後ろの骨の一部を削ります。

ヘルニアが、神経根という左右に分かれた神経の枝を押している場合に、
神経根の後ろの骨を削って、神経の逃げ道を作ってあげる、という考えです。

頸椎を前から見た図
頚椎を後ろから見た図(後方椎間孔開放術の模式図)

この方法は、内視鏡で行う施設もあります。

気管や食道、頸動脈などをよけなければいけない前方法と違って、骨に到達するまでに筋肉しかないので、比較的安全です。

神経根の周囲は出血しやすく、手術自体が難しいこともあります。

あくまでこの術式を推奨している施設からの発表になりますが、術後成績はそれなりに良いようです。

ただ、たまに症状がうまく取れずに、前方除圧固定術が追加になることもあるようです。

「だったら最初から前方除圧固定術で・・・」以下略。

後方椎間板摘出術

後方椎間孔開放術と同様に、後ろから骨を削ります。

さらに、神経根をよけて、神経根の前にある椎間板ヘルニアを取り除きます。

前述のように神経根周囲は出血しやすいので、ヘルニアを取り除くのもなかなか難しいようです。

まとめ

以上、日本で主に行われている頚椎椎間板ヘルニアの手術5つについて説明いたしました!

前方除圧固定術が世界的にはゴールデンスタンダードではありますが、
一時期、さまざまな手術合併症リスクの点から、日本の多くの施設で敬遠されていた期間もあります。

現在も、まったく前方法を行わない術者、施設もあると思います。

そのため、後方法も増えているとは思います。

前方除圧固定術以外の方法は、前方除圧固定術の問題点を回避するために、
各術者がそれぞれの考えで、頑張って取り組んでいるものと思われます。

まあ、うまく症状が取れなかったら、最終的には前方除圧固定術になりますが。

こういった現状も踏まえて、新しめの術式に慣れた術者を信じて、手術を受けてもよいと思います。

というワケで、最後まで読んでくださって、
ありがとうございました~!

コメント

タイトルとURLをコピーしました