腰椎椎間板ヘルニア治療の救世主!?コンドリアーゼ注射とは

せぼねの話

こんにちは!
この世からオペがなくなったら、何して生きていこう・・・と、虚ろになることもあるドクターコンちゃんです!

さて、近年、腰椎椎間板ヘルニアの新しい治療として、

日本で開発された、コンドリアーゼという注射があります。

商品名はヘルニコアです。

安心安全のメイド・イン・ジャパン!

簡単にご説明します。

(ちなみに残念ながら、販売会社からは何の広告費も頂いていません(^-^;)

腰椎椎間板ヘルニアの治療

まず、腰椎椎間板ヘルニアは、自然に治っちゃうものが多いです。

ただ、神経が圧迫されることで脚がすごく痛いので、
自然に治るまでの期間、以下のような、手術以外の治療法で、痛みを抑えてあげます。

・鎮痛剤(痛み止めの飲み薬。かなり強いものを処方することが多いです)
・神経根ブロック(圧迫されている神経に居所麻酔薬を注射します。コレ自体が痛いです)
・リハビリテーション(一時的に痛みを和らげる効果はあると思います)

しかし、中には、自然に治らないタイプのヘルニアもあります。

その場合は、これまでは手術しかありませんでした。

ここに、他の選択肢として、コンドリアーゼ注射が加わることになりました。

コンドリアーゼ注射とは

日帰りでできる治療です。

透視室という、連続でレントゲン写真をみるような部屋で行います。

腹這いになり、
腰の後ろからチクッと針を刺し、椎間板内に針を進めます。

椎間板内にこの薬を注射すると、
椎間板の保水成分が溶かされます。

すると、徐々に椎間板全体が収縮してきて、
後ろに飛び出していたヘルニアも引っ込んできます。

腰椎椎間板ヘルニアに対する、コンドリアーゼ注射の模式図

コンドリアーゼ注射後の模式図

これで、ヘルニアが神経を押さなくなるので、脚の痛みやしびれが取れる、というワケです。

これによって、めでたく手術が回避できました!(^^)!

しかし、少し注意点があるので解説します。

コンドリアーゼの注意点

全てのヘルニアに適応できるわけではない

残念ながら、コンドリアーゼの適応となるのは、一部のタイプのヘルニアのみです。

すべてのヘルニアで適応があるワケではありません。

まあ、ホントはどんなタイプでも使用できるっちゃできるのですが、
効きそうなタイプを選ばないと、
高価な割に、効果が無い可能性が高くなるという事です。

(オヤジギャグが決まったところで、)

効果があるのは、下の図のように、ヘルニアが後ろに出っ張っているだけのタイプです。

コンドリアーゼが適応となる椎間板ヘルニアの模式図(横から見た所)

効果が無い、というか適応とならないタイプは以下のように、
ヘルニアの中身が膜を突き破って、
本来の位置から移動しているようなものです。

コンドリアーゼが適応とならないヘルニアの模式図

コンドリアーゼで、全ての人が治るわけではない

コンドリアーゼ注射は、70~80%の人で効果があると言われています。

つまり、20~30%くらいの人は、コンドリアーゼ注射を打っても治らず、
最終的に手術が必要になる可能性がある、というコトです。

それでも、注射を打って大部分の人が治るのですから、
多くの人が手術を回避できる、という点でやはり有用な治療法だと思います。

ボクも結構、この注射を行っていますが、
確かに良くなる人が多く、良い印象を持っています。

手術には一定確率のリスクが伴うので、
個人的には、コンドリアーゼで治るタイプなら、試す価値アリかな、と思います。

アナフィラキシーの可能性

要はアレルギー反応が起きる可能性があるというコトです。

アナフィラキシーとは、アレルギーの中でも重症な全身反応が起こるもので、
重症化すると命に関わります。

ほとんどの人は、何もアレルギー反応が起きないか、
一時的な湿疹などの軽いアレルギー症状で済むようです。

ただし、やってみなければ起きるか分からないのがアレルギーなので、
ボクも、何か起きたら対処できる心づもりで行っています。

一生に一回しか注射できない

コンドリアーゼは、一生に一回しか使えません

スズメ蜂に、2回目に刺された時のアレルギー反応のように、
2回目に薬が体に入ったときに、重篤なアナフィラキシーを起こす可能性があるからです。

だから、一回コンドリアーゼ注射を受けて、
将来、違う部位のヘルニアが出た場合、
もう一度はできません。

まだ発売されて間もない薬なので、
今の所は、昔コンドリアーゼを打った、という患者さんは来ませんが、
将来的には、コンドリアーゼ注射を受けた人が、他の部位にヘルニアを発症する例も出てくるでしょう。

その時は、昔、コンドリアーゼを受けた、と伝えて頂かなくてはいけません。

まあ、そもそも何度もヘルニアになる人は多くはないと思いますが・・・。

後で手術になっても支障なし

これは注意点ではないですが、たまに患者さんに聞かれることです。

コンドリアーゼ注射を受けてから、うまく治らずに、
後で手術が必要になっても大丈夫か、
普通に手術できるのか、という質問です。

答えは、問題ありません

実際に、コンドリアーゼ注射後に手術になる人もいますが、
その場合も、椎間板内の状態含め、
コンドリアーゼを受けていない人と何ら変わりなく、普通に手術できます。

余談ですが、
似たような治療で、レーザー治療がありますが、
レーザー治療を受けた後の椎間板内は、
べとべとにくっついている、癒着という状態になっているため、
手術がやりにくいです。

コンドリアーゼでは、そんなことはありません。

まとめ

以上、コンドリアーゼ注射について簡単に説明しました。

先にも述べましたが、椎間板内に針を刺すという点で、
似たような治療にレーザー治療があります。

これは、レーザーで椎間板内を焼いて、椎間板を収縮させるという、
なんだか目指す結果がコンドリアーゼに近いモノです。

レーザー治療が高額な自費診療であることを考えると、
同じような効果を狙うのであれば、
手軽さでは保険診療で行えるコンドリアーゼに軍配が上がるかと。

もちろん、コンドリアーゼにもアレルギーの問題などがあり、
一長一短だとは思いますが。

というワケで、椎間板ヘルニアになって、自然に治らずに困っている方は、
脊椎専門医に相談してみてもよいかと思います!

最後まで読んでくださって、
ありがとうございました~!!!

(ところで、メイド・イン・ジャパンの下りで、

“Made in Japan”ではなく、

“Maid in Japan”と書くと、

”日本のメイドさん”という意味となる新事実に気づいてしまったことを

どうしてもココで伝えたかったので最後に書き記しますm(__)m ペコリ)

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