ドクターX 外科医・大門未知子 第2話 (2021/10/21放送) 勝手にまとめと検証 ~今回もツッコミどころ満載!?診断バイアスと認知的不協和

医者雑談

こんにちは!
いつもツッコミどころ満載なのに
登場キャラが魅力的過ぎて
ドクターXを見るのをやめられない
ドクターコンちゃんです!
(タイトル画像はドラマとはなんの関係もございませぬ。)

ドクターX 外科医・大門未知子 第2話 (2021/10/21放送)見ました!

前回に引き続き、
またまた勝手に検証します!
(ネタバレありますのでご了承を)

簡単におまとめ

主人公の大門未知子(米倉涼子)は、
第1話でラッサ熱患者(医師)の血液が皮膚についたため
当然のようにラッサ熱にかかりましたね。

今回、冒頭から
すでにラッサ熱発症から3か月経過時点となっており、
やけにサラッと全回復してて
拍子抜けです。

まあ、致死率70~80%のラッサ熱とはいえ
リバビリンっていう抗ウイルス薬が著効するそうで、
致死率数%に激減するとのこと。
(NIID 国立感染症研究所 ラッサ熱のページへのリンク)

未知子もきっとしばらく
隔離された部屋で入院治療したのでしょうケド
TVドラマ的には寝ているだけの姿で
放送時間を使うのはツマラナイから
端折ったんでしょう(^-^;

さて、今回の患者さんであるクラブのママですが、
軽いめまいで検査入院します。

アメリカ帰りのスーパードクター
興梠広(こおろぎひろし)(要潤)が担当医となります。

医者のカンファレンスで
興梠は患者さんのめまいの原因として
小さい部分血栓化脳動脈瘤による軽い脳梗塞を指摘。

未知子は、興梠が見落としていた
頸動脈狭窄、血栓(血管に血の塊が詰まっていること)を指摘。
(ていうかベテラン脳外科医が
これを見落とすとは思えませんが(^-^;)

さらに、興梠が執刀する頸動脈のオペ中
患者さんが急性心不全を起こし、
やはり未知子が現れて
心エコーで房粘液腫を指摘、
心臓のオペも追加で行うという流れです。

ドクターコンちゃん
ドクターコンちゃん

ちょっと待て!
(千鳥の『相席食堂』風に。知らない人スミマセン)

ツッコミどころ3つ。

ツッコミどころその①:なんでオペ前に心臓の検査してないのよ

頭頚部の血栓症(塞栓症)、脳梗塞がある時点で、心臓の検査は必須だろと。

血栓が飛んで血管が詰まるのを塞栓症と言いますが、
原因として不整脈や房粘液腫があることは
医学生レベルで常識かと。

ツッコミどころその②:ちゃんとコミュニケーション取ろうぜ・・・

未知子も、オペ前に、
「もっと検査を!」
とか漠然と言うんじゃなくて、
「塞栓症の原因が心臓にあるかもしれない」
くらいちゃんと周りに伝えれば
周囲の医師もハッと気づくはずですが・・・(´・ω・`)

チーム医療に必須の
コミュニケーション
がうまくいっていないことに問題があります。

事前の打ち合わせもなしに、
いきなりオペ中に
人工心肺回して心臓のオペ追加って、
やっぱり危険です。

結局スタンドプレーは
患者さんが不利益を被ることになりますね(^-^;

もっとも優れた医療というのは、
独りのスーパードクターでは不可能で、
スーパーチームを編成しなければ達成できません。

医療ミスを減らすためには
組織的改革が必要というのは
周知の事実です。

ツッコミどころその③:右房じゃなくて左房粘液腫では?

全身の血液の流れとしては、以下のようになります。

全身の静脈 → 右心房 → 右心室 → 肺動脈 → 肺静脈 → 左心房 → 左心室 → 全身の動脈(脳含めて) → 全身の静脈・・・

右心房内に粘液腫がある右房粘液腫だとしたら、
血栓は肺の血管に詰まる(肺塞栓)かと。

頸動脈の塞栓や、脳梗塞を起こすのは
基本的には左心房内に粘液腫がある、房粘液腫です。

右房粘液腫でも脳梗塞合併は絶対無いとは言いませんが、
理屈と頻度で言えば、
房粘液腫なんじゃないでしょうか。

実際に左房粘液腫と頸動脈塞栓や脳梗塞の合併例は
複数報告されていますし。

耳元でささやく<br>ナゾの妖精
耳元でささやく
ナゾの妖精

そんな細かい事どーでもいいじゃない。
面白ければ。

ハイ、そうですね(^-^;

興梠医師が陥った診断バイアス

医師の世界では、
診断ミスを誘う
さまざまなバイアスが言われています。
(以前の記事「後医は名医」という悲しい現実の、それらしい理由でも紹介してます)
主な診断バイアスを挙げてみます。

  1. アンカリング(Anchoring):診断早期の、最初の考えに固執してしまう。
  2. 早期閉鎖(Premature closure):早々に考えることをストップしてしまう。
  3. 確証バイアス(Confirmation bias):自分の仮説に都合の悪い情報を無視し、仮説に都合の良い情報だけを探してしまう。
  4. 可用性バイアス(availability bias):最近見たことのある疾患と似ているため、同じ疾患を考える。
  5. ハッスルバイアス(hassle bias):自分が最も楽に処理できる仮説のみを考える。hassleとは面倒という意味。
  6. 自信過剰バイアス(overconfidence bias):自分の診断能力に自信をもって、情報収集をやめてしまう。または前医や指導医の意見に盲目的に従う。

上記のいくつかに
興梠や周囲の医師が陥っていたバイアスが
該当すると思います。

医師も人間なので、
必ず思い込みでミスをします。

そのためにも医師は
症例のカンファレンスをします。

個人の限界を認識し、
それを補うのが、
チーム医療です。

ドラマ的には、
皆が見逃していた病気を
ひとりの天才医師だけが見抜くというのは
痛快で面白いのですが
医療ミスを減らすシステムとしては
その考え方は大間違いかと。

耳元でささやく<br>ナゾの妖精
耳元でささやく
ナゾの妖精

さっきも同じよーなこと言ってたよ?

TVドラマで考え過ぎじゃない?
老けるよ?

うムムム・・・。

ミスを受け入れられない興梠の認知的不協和

興梠は未知子に粘液腫の見逃しを指摘され、
心臓のオペを追加しようとする未知子に対し
危険だ、やるべきでない、と論点をずらして反論します。

これは、書籍『失敗の科学』で指摘されている
認知的不協和そのものです。

プライドが高いエリートほど、
明らかにミスである証拠が挙がっても
それを認めず、否定しようとする現象です。

医者もプライドが高い人多いですから、
現実の世界でも
ミスをすんなり受け入れられないことは
多々あると思います。

未知子から正論で個人攻撃をされ
認知的不協和に陥った興梠は
今後、未知子への敵意へと問題をすり替えて
反撃しようとしていくのでしょうね・・・
(現実ならとてもコワイ状況です。クワバラクワバラ)

未知子もいちいち個人攻撃せずに、
人間のそんな不完全な部分も認識して
円滑なコミュニケーションで
周りの医師をコントロールできるようになれれば
スーパーチームができるのにな・・・

耳元でささやく<br>ナゾの妖精
耳元でささやく
ナゾの妖精

それじゃツマンナイじゃない。

もっと楽しくドラマ見ようよムムムム

(妖精の口を手でふさぎながら)
オジサンの愚痴みたいになってしまいましたが
最後まで読んでくださって、
ありがとうございました~!!!

参考文献:

・NIID 国立感染症研究所 ラッサ熱のページ

コメント

タイトルとURLをコピーしました