腰部脊柱管狭窄症の手術後に残った症状の原因4選!!!

せぼねの話

こんにちは!
「せぼねは何ていうか・・・ボクそのものですね」(意味不明)
ドクターコンちゃんです!

今日は、腰部脊柱管狭窄症の手術(除圧術)後に残った、
脚の痛みやしびれの原因について、解説してみたいと思います!

腰部脊柱管狭窄症について

まず、腰部脊柱管狭窄症という病気について説明します。

せぼねの中心にはトンネルのような神経の通り道(脊柱管)があり、
さまざまな原因でこのトンネルが狭くなる状態なんですね。

このせいで、脚に行く神経が締め付けられて、
立ったり歩いたりしていると、腰から脚にかけて痛み、しびれが出てきて、
途中で座って休まなくてはいけないといった症状が出てきます。

腰部脊柱管狭窄症の説明については、以下の動画もどうぞ ⇓

【腰部脊柱管狭窄症の症状】Dr.近藤祐一のせきつい教室 Part 3│はちや整形外科病院youtubeチャンネル
【腰部脊柱管狭窄症の治療法】Dr.近藤祐一のせきつい教室 Part 4│はちや整形外科病院youtubeチャンネル

さて、この脊柱管という神経の通るトンネルを広げてあげるのが、
除圧術と呼ばれる主な手術法です(椎弓切除術椎弓形成術とも呼ばれています)。

基本的には、除圧術を受けると、
神経の締め付けがなくなるため、徐々に脚の痛みやしびれが楽になってきます。

【腰部脊柱管狭窄症の手術(除圧術)】Dr.近藤祐一のせきつい教室 Part 14│はちや整形外科病院youtubeチャンネル

腰部脊柱管狭窄症の除圧術後に症状が良くならない原因

ところが!!!

患者さんの中には、
手術をしたのに症状があまり良くならないという方がおられます。

こういう方の中には、
症状を良くしたい一心で、何回も追加手術を受けるも、
不幸にしてやはり良くならないという人もいます。

こういった、脊椎術後に症状が改善しない状態を、
Failed Back Surgery Syndrome(FBSS)と言って、
脊椎外科の中では頭を悩ませる問題として知られています。

そこで今回は、腰部脊柱管狭窄症の除圧術後に残った
脚の痛みやしびれの原因について、
世間の脊椎外科医が患者さんに説明することや、
自分の経験を交えて以下に挙げてみました。

1.除圧不足
2.神経細胞が回復できないほど変化している
3.精神的問題
4.椎間孔狭窄

さて、聞き慣れない言葉が出てきたと思いますが、順番に解説していきましょう!

1.除圧不足

まず、不十分な手術によって
脊柱管が十分に広がっていない状態です。

要は術者の技量の問題か、
または非常に難しい症例のこともありますが、
まだ神経の締め付けが残っているわけですね。
これでは当然、症状が十分よくなりません。

ただし、椎体が前後にずれてしまう、
腰椎すべり症という疾患の程度が重度の場合も、
除圧術ではあまり良くなりません。

いずれの場合でも、
除圧術というトンネルを広げるだけの手術では不十分なので、
症状を改善するには、脊椎固定術というやや大きい手術法(4.椎間孔狭窄の所で後述します)が必要になります。

2.神経細胞が回復できないほど変化している

これは、除圧術自体はまったく問題なくできていて
腰椎すべり症など、脊椎固定術が必要な疾患を合併していない場合の話です。

手術中の観察からしても、術後のMRIでの脊柱管の広がり方を見ても、なんら問題は見当たりません。

そもそも、腰部脊柱管狭窄症というのは、
長い年月をかけてゆっくり起きてきて、
症状が出始めてからも、軽い痛みやしびれだけの場合は、
手術を受けずに様子を見る方も多いです。

そうやって長い期間患い、症状がどうしようもなくつらくなって、
限界になったときに手術を受けられることが一般的です。

そのため、長期間締め付けられすぎた神経細胞が、
元に戻らない変化を来してしまっている場合があります。

ただし、こういう変化は程度の差はあれど、多少は存在するため、
手術前ほどの症状はないけれど少し足のしびれが残っているという場合もこれに当てはまるでしょう。

現代医学では、
長い期間をかけてダメージを受けた神経を元通りに治す治療法というのが存在しません。

そのため、こういった症状は、
痛み止めなどでできるだけ症状の程度を軽くしてあげるといった、
対症療法という対応法しかありません。

3.精神的問題

これは、2.の神経の問題と似ているのですが、
やはり手術はうまくいっており、追加手術の必要性がない場合です。

2.のような神経の回復が得られない状態ももちろん加わっていると思われますが、
それが脳内で増幅されているような状態です。

先ほども述べましたように、腰部脊柱管狭窄症は長い年月をかけて患う疾患です。

そして、強い痛みやしびれをずっと我慢していると、
多くの方は精神を病み、うつ傾向になると思われます。

想像してみてください。
正座を長時間した後に立ち上がった時の、
ひどい足の痺れ痛みが、四六時中、長期間続くのです。
これはとてつもない苦痛です。

うつ状態や、強い精神的ストレスにさらされている人は、
痛みを強く感じ、慢性化しやすいということも言われています。

慢性疼痛症候群といって、強い痛みを長期間我慢し続けると、
脳内で痛みを増幅させるループのようなものができてしまいます
(これは術後の痛みについても当てはまるため、
ボクは意識的に、術後の傷の痛みをあまり我慢させないために、
強めの薬を長い期間処方しています)

上記のような状態をまとめて、
精神的な症状であると言われていると思います。

こうなると、通常の痛み止めだけでは効果が無く、
精神科の薬や、心理カウンセリング認知行動療法など、
精神科的アプローチが必要になるでしょう。

実際に、過去にボクの外来患者さんでも、
何年も前に受けた首の手術の後、ずっとつらい首の痛みを抱えておられた方が、
患者さんの知り合いの精神科クリニックにかかった途端に痛みが楽になった、ということを報告してくれたことがあります。

4.椎間孔狭窄

実は今回、最もお話ししたかったのはこれです!

先ほどの腰部脊柱管狭窄症についての説明で出てきた図をもう一度お見せします。

上記の図で、脊柱管と呼んでいるのは、
いわば神経の中央道(メインストリート)です。

そこから、左右に神経の枝が分岐し、
椎間孔と言われる小さな骨の穴から、骨の外に神経の枝が出ていく構造なのです。
この神経の枝が集まって束になり、脚に行くわけです。

要は、神経がメインストリートから脇道に逸れていくわけですが、
まさにその神経の出口である椎間孔が狭くなっている状態が、椎間孔狭窄です。

そもそも、いわゆる除圧術というのは、メインストリートのトンネル拡張工事であって、脇道までは直しません。
これでは痛みが残っても無理はない、というわけです。

ちなみに、ここを治すための一般的な手術としては、
椎間板にスペーサーというブロックのようなものを入れ、
後ろからスクリュー(ボルト)を骨に挿入、
上と下のスクリューをロッドという棒で連結するという、
金属を用いた脊椎固定術というやや大きな方法が必要になります。

脊椎固定術を横から見た図

この椎間孔狭窄というのは、
手術を受けた人も、受けていない人であっても、
他の病院で見逃されている人は結構います。

メインストリートの脊柱管狭窄症はメジャーな疾患であるため、
脊椎専門医でなくても、整形外科でMRI撮影されれば、診断されることは多いです。

しかし、椎間孔狭窄については、
痛みやしびれの位置や、MRI所見、あと診断を確定するための神経根ブロックなどを用いて、
手術をたくさん行っている脊椎外科医総合的に判断しないと、診断できないことも多いと思います。

この、手術をたくさんしている、というところがミソで、
ボクも以前、手術経験が少ないうちは、
MRIで椎間孔狭窄がありそうと思っても、
手術で良くなった患者さんをたくさん見ていないと、診断に確信が持てないものなのです。

さて、腰部脊柱管狭窄症の除圧術後に残っている症状の原因について、解説いたしました!

今後も困っている方のために、
研鑽を積み、なおかつ情報発信を行っていきたいと思います!

長くなりましたが、最後まで読んでくださって、

たくさんありがとうございました!!!

腰部脊柱管狭窄症の術後に残った症状の原因4選!!!

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