腰痛はオペで治るとは限らない問題

せぼねの話

こんにちは!
腰痛を感じるたびに、ああ、また少し年を取ったのだ・・・
と哀愁を禁じ得ないドクターコンちゃんです!

さて、腰痛は
成人の半分くらいは経験するであろうと言われる
ありふれた症状です。

ほとんどの人は、
1か月から1か月半くらいで自然に治ると言われています。

ただし、一部の方は慢性化し、
医療機関に長期間通院することになります。

基本的な治療は、
以下のような保存的治療(手術以外の治療)です。

・鎮痛剤
・注射
・リハビリテーション(運動療法)

ただし、慢性腰痛は上記のような治療でもなかなか治らないため、
手術で治らないかと期待される方もいます。

結論を言えば、
腰痛がオペで治るかどうかは分からない
ということです。

確率的には、半々程度かな、と。

ただし、red flagと言われる

・腫瘍
・感染
・骨折

といった疾患については別ですよ。
これらは緊急性が高く、
オペが必要なこともありますので。

これらの重篤な疾患が否定された上で、
年齢的変化をベースに起きる、よくある腰痛の
代表的疾患についてもう少し見てみましょう!

腰椎椎間板ヘルニア

腰痛を起こす疾患として、とても有名ですね。

基本的には自然に治りますが、
中には自然に治らず、手術が必要になる場合があります。

ただし、手術の適応となるのは、
神経が圧迫されて、
お尻から脚の痛みやしびれがある場合です。

確かに、そういう患者さんにオペをすると、
脚の症状と一緒に
腰痛もよくなることも多いです。

ただ、腰痛だけの患者さんの場合、
神経が圧迫されて起きる腰痛なのか、
それとも椎間板の老化による
クッション機能の破綻で起きている腰痛なのか
判断がつかないことも多いです。

そもそも、偽ヘルニアであることもあります。

【偽ヘルニア疑惑】それホントに椎間板ヘルニアですか!?

オペの目的は、
あくまで脚に行く神経の圧迫を取り除くことです。

腰痛だけの症状の場合は、
オペで良くなる可能性が低いため
多くの脊椎外科医はオペをしないでしょう。

ちなみに、コンドリアーゼ注射も
適応は手術同様ですので
腰痛だけの場合に行うことは
基本的にありません。

腰部脊柱管狭窄症

これも脚に行く神経の通り道(脊柱管)が狭くなる状態ですね。

腰部脊柱管狭窄症は椎間板ヘルニアと違って、
自然に治ることはありません。

それでも症状に波があり、
保存的治療のみで症状が楽になる人は多いです。

保存的治療だけでは
どうしても症状が改善してこない人は
オペとなります。

椎間板ヘルニア同様、
手術の適応となるのは
お尻から脚の痛みやしびれがある場合です。

そういう方にオペをすると、
腰痛も一緒に良くなった
という人は多いです。

ヘルニアと同じく、
やはり、腰痛だけの場合にオペになることは
ほぼないと思います。

ただ、腰部脊柱管狭窄症は、
脚までは症状が出ず、
腰痛とお尻の痛みだけのこともあります

その場合は、オペで良くなる可能性があります。

お尻の痛みもあるのか、腰痛だけなのかは
オペ適応となるかどうかに重要なので、
専門医の診断が必要なトコロですね!(^^)!

腰椎椎間板症(腰椎椎間板障害)

これは前述の、偽ヘルニアであることも多い疾患です。

これは、椎間板の老化により、
椎間板のクッション機能の破たんや、
上と下の骨のつながりが不安定になるという状態です。

椎間板ヘルニアと違って、
脚に行く神経を圧迫していませんので、
脚の痛みやしびれは通常ありません。

だいたい腰痛のみです。

よって、
ヘルニアと同じオペで良くなる可能性は低いです。

もしオペをするとしたら、
脊椎固定術という
金属を使った比較的大きな手術になります。

脊椎固定術の模式図(横から見た図。左がおなか側)

ただし問題は、
固定術をしたとしても
腰痛が良くなる保証はない
というコトです(^^;)

中には良くなる人もいますが、
まったく良くならない人もいます。

確率は半々と言ったところです。

椎間板ブロックなど、
術前にいろいろ検査、検証をして
ワルイのはここしかない!
と確信を持ってオペをしても
半々なのです。

経験の多い脊椎外科医は、
こういう患者さんのオペをして
一度や二度は
腰痛が良くならずに
痛い思いをしているのではないかと思います。

(実際痛いのは患者さんですが(^^;))

というワケで、
腰痛だけの患者さんには
オペ自体をしたがらない脊椎外科医も多いと思います。

まとめ

長くなるので他の疾患は割愛しましたが、
結局、腰痛だけの症状だと
オペで良くなる可能性は低いというコトです。

こういう現状なのは
いまだに腰痛の原因が
特定できない場合もあるからだと思います。

前述の腰椎椎間板ヘルニアや
腰部脊柱管狭窄症のように、
神経が圧迫されて
お尻や脚の症状もある場合は、
オペで腰痛も良くなるかもしれません

ただし、それでも
腰痛が良くなるかどうかは二の次で、
まずはお尻から脚の症状を良くすることが目的です。

患者さんには、

ドクターコンちゃん
ドクターコンちゃん

脚の症状は良くなるケド、
腰痛は良くなるかもしれないし、
変わらないかもしれない ですよ

と説明します。

実際、腰痛は残ったという人もいます。

腰痛も消えたという患者さんは、
ラッキーだと思います。

残念ながら、
慢性腰痛に対する治療で
もっとも確からしいデータがあるのは
運動療法だけです。

心苦しいですが、
これが現代医学の限界です。

みなさんも、
もし頑固な慢性腰痛で困った場合は
オペで良くなる可能性は
丁半ばくちみたいなもんだと覚悟を決めて
オペを受けなくてはなりません・・・(´・ω・`)

まずはストレッチや体幹筋トレーニングなど
運動習慣を身につけて
腰痛予防に努めましょう!

というコトで、
最後まで読んでくださって、
ありがとうございました~!!!

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