経皮的脊椎内視鏡の衝撃

せぼねの話

こんにちは!
ベストな治療法は何かを日々模索し続けている
ドクターコンちゃんです!

さて、2022年春から新しい職場に移り
脊椎内視鏡手術をメインとした脊椎治療に携わるようになりました。

これまでも脊椎内視鏡オペを多少は行っておりましたが
病院の方針などもあり、対象とする疾患は限定的でした。

脊椎内視鏡を数多く行う病院に来て改めて分かったことは、
最近では対象疾患や脊椎内視鏡手術自体のバリエーションも増えているという事です。

その中でも衝撃的な進歩を感じるのは

経皮的脊椎内視鏡です。

これは7mm程度の皮膚切開で細い筒を入れ
脊椎の手術を行うというものです。

最近では従来の脊椎内視鏡(micro-endoscopic spine sugery)と区別するため
FESS(full-endoscopic spine surgery)とも言われます。

例えば腰椎椎間板ヘルニアの手術法にも色々ありますが、
以下のようにボクはこれまで一通り経験してきました。

①肉眼でのオペ(傷5㎝)
   ↓
②手術用顕微鏡でのオペ(傷3㎝)
   ↓
③(従来の)脊椎内視鏡(MED: micro-endoscopic discectomy)でのオペ(傷1.5cm)

肉眼的手術からMEDに至る過程で、
傷が小さくなるに従って、筋肉へのダメージも少なくなり
経験的にも、患者さんの手術後の痛みが少なくなっていったと思います。

それでもまだまだ術後の痛みは結構あるなあという印象でした。

手術自体は肉眼的手術の延長で、中身はほぼ一緒です。

しかし傷が小さくなると操作できる範囲が狭くなるので
どんどん術者にとってはやりにくく、難しくなり
傷の小ささとは反比例して、
術者へのストレスは増大していきます(^^;

しかし現在当院では、さらに傷の小さい

経皮的脊椎内視鏡(PELD: perctaneousendoscopic lumbar discectomy)でのオペ(傷7mm)

が主流となっています。

手術操作の中身や、術後の痛みについても
MEDとそう変わらないかと思いきや、

全く別物と言ってよい結果でした。

まず、患者さんの術後の傷の痛み
圧倒的に経皮的脊椎内視鏡が少ないと思われます。

そして手術操作自体もベツモノで、
MEDまでとは全く違うテクニックを用いることになるので
これまでの延長というワケにはいきません。

患者さんにとっては、単に最も傷が小さくできるオペという印象でしょうし
実際に自分でやっていない医師でも同じような感覚かと思います。
(自分もかつてはそうでした(^^;)

色々な術式を経験してきたからこそ感じる
経皮的脊椎内視鏡の衝撃というワケです。

同じ椎間板ヘルニアを対象とした手術とはいえ
これまでとは大きく世界が変わってしまった・・・

ところで、まだ経皮的脊椎内視鏡については
日本では広く普及してはいません。

これは前述のように、
肉眼的手術の延長ではないからだと思います。

通常の脊椎内視鏡手術までは扱っていた専門医でも
経皮的となるとイチから技術を構築しなおす必要が出てきます。

(感覚的には関節鏡手術に近いですね)

そのため、独りで容易に導入できるものではないので
指導ができる慣れた術者が日本中に充足するまでは
遅々として広がらない気がします。

それでもこの技術の利点についての理解が医師の間に広まることで
少しずつ普及するのではないかと思っていますが
注意すべきは、すべての疾患の手術が経皮的にできるわけでもなく
経皮的だから絶対ベストというワケではないことです。

技術的に難しい手術というのは
手術時間も長くなりますし
方法論が確立するまでは、合併症発生の懸念もあります。

メリット・デメリットを理解した上で
最適な方法を提案できるよう
バランス感のあるドクターでありたいものです。
(と、バランスボールの上でグラグラしながら書いてみる)

最後まで読んでくださって
ありがとうございました~!!!

コメント

タイトルとURLをコピーしました