高い医療が良い医療とは限らない

勝手にメス入れ医療問題

こんにちは!
オペも牛丼も、「はやい!うまい!安い!」ほうが良いという事実に気づき、
吉野家とのシンパシーを感じてるドクターコンちゃんです!

さて、日本では国民皆保険のおかげで、
海外に比べて高品質の医療が、
いつでも、誰でも、低価格で受けられます。

そんな中で、
自費診療という高額なお金がかかる分野があります。

それはホントに高額なお金をかける意味あるのか!?
今日はそんなお話です。

高額なサービスは良いサービス?

世の中には、
「高額な方が良いものに違いない」
という考えを抱く方がそれなりにおられると思います。

確かに、
おいしい食べ物は高額であることが多いですし、
ホテルで良い部屋、
最高のサービスを受けるのには、
多額のお金が必要なことが一般的です。

アメリカのように、全て自費診療の場合は、
確かに高度な医療を受けるためには高額なお金が必要になります。

アメリカでは医療もサービス産業というビジネスですから。

美容外科のように、
日本でも
もともと自費診療しかない領域においては
同じことが言えるのかもしれません。

しかし、ある同一の疾患の治療において、
保険診療の治療法と、
自費診療の治療法がある場合はどうでしょう。

結論を言いますと、
国民皆保険が整備された日本の医療においては、
高額な自費診療だからといって
良い医療サービスとは限らないです。

高額自費診療の一部は、ボッタクリ金融商品と似ている

高ければ良いワケではないというのは
金融商品とも似通っています。

ファンドなどの金融商品のうち、
高額な手数料がかかるものは、
低コストの優良な商品と比べて
総じて運用成績が低いことが多いです。

または単なるボッタクリ、詐欺商品か。

これらは、
相手が情報弱者であるのをいいことに、
高額なら良いに違いないという
妄信を利用した商売です。

こういった状況は、
医療界においても当てはまります。

医療においても金融においても、
サービス提供者と受給者との間で、
持っている情報量に圧倒的な差があります。

あまり情報を持っていない
情報弱者と言われる人は、
医療でも金融でも
だまされる可能性がある、ということです。

日本では、保険診療はハズレの少ない診療

基本的に
日本において保険診療が認められた治療は、
国民の健康のために、
厚生労働省が国のお金を投入しても良いと判断したモノです。

つまり、保険診療ということは、
国のお墨付きの、ハズレが少ない治療でしょう。

さっきの金融の話とまた共通点があります。

国が国民の老後資金のために、
積立nisaやIDECOといった
税制優遇の受けられる投資制度を準備しましたが、
ここで買える金融商品は、
国がお墨付きを与えた
ボッタクリでないものがほとんどです。

医療でも金融商品でも、
国が税金をだしてあげても良いと言うモノは
それなりに確かなモノが多いのかなと。

逆に、保険診療は認められておらず、
自費診療しかない治療とは、
国が税金を投入するのには
(少なくとも現時点では)
不適格と判断されているモノ、
ということになります。

それは、安全性や有効性の面で、
科学的なデータが十分ないというコトです。

もちろん、新しい治療法は、
まだ保険適応となっていないだけで、
将来的には有効性が認められて、
保険診療となる可能性もあります。

しかし、実際には、高額なだけで、
本当に効くのか?というモノも多いかと。

特に、世に出てから結構期間が経つのに、
保険適応になっていない治療というのは
正直アヤシイです。

むしろ、売る方としては、
有効かどうかのデータが
ハッキリ出ないほうが良いのかもしれません(^-^;

保険適応を目指してデータを出した結果、
有効性が認められず、
売れなくなる可能性がありますから。

曖昧なままの方が、
自費診療で高額なお金を取り続けられますしね。

最近の膝軟骨の再生医療クリニック

最近だと、整形外科分野では、
膝の再生治療として、
血液や脂肪の細胞成分を培養して
膝に注射するというものが流行っています。

個人的には
ホントに有効ならいいなと期待していますが、
現在のデータでは
この治療で、すり減った軟骨が再生するのか
まだハッキリしていません。

データ集めの段階です。

しかし、各地に
この治療法を主に行うクリニックが
新規開業しています。

まるで、有効性がグレイな今のうちに
儲けておこうとでもするように。

本来だったら
有効性について研究段階なのだから、
あまり大々的に
お金儲けの道具になってほしくないですが・・・。

こういう、安全性は高いけど
有効性がまだよく分からない治療って、
お金儲けの道具として、よく使われる傾向にあります。

医療においては

副作用・合併症が全く出ない ≒ あまり効かない

という一般的な構図があることも
非医療者の人は知っておいた方が良いかと。

この治療が、まがい物と決めつけているわけではありませんよ(^^;)

将来的には、
有効性がある、とハッキリすれば、
保険適応になる可能性が高いですし。

逆にたいして有効性がない、とハッキリしたら、
悲しいですね(/ω\)

期待外れだったコンドロイチン内服の軟骨再生効果

一昔前に、
軟骨の構成成分である
コンドロイチン硫酸を含んだ健康食品を内服すると、軟骨が再生するのでは?
という臨床研究が流行ったことを思い出します。

当時は、整形外科の臨床雑誌にも
医師がその研究結果を投稿していました。

ボクも若かりし頃、

ドクターコンちゃん
ドクターコンちゃん

これで、膝の人工関節は要らなくなるのでは!?

と興奮した覚えがあります。

結局、
軟骨が再生するという明らかな証拠は得られず、
今では医師の誰もそんなこと話題に出しません。

今でも健康食品として売ってはいますが(^-^;

こういう過去の状況も知っているので、
現時点では、上記の再生医療について、
期待はするけど
将来のデータが出るまでは何とも言えない
と言ったところです。

一般の人は
お金に余裕があるなら
安全ならば試してみてもよいのでは?
と思います。

有効性がまだ明らかでない
新しい治療については、
高額なギャンブルみたいなものだと
納得して受けて頂ければ良いと思います。

まとめ

日本は恵まれた国で、
国が安全性・有効性を認めた治療を
保険適応で受けられます。

つまり基本的に、保険診療とは、
データがある程度出そろった
国が担保した
良い治療であることが多いです。

ただし、医療は常に発展途上なので、
現時点の保険適応の治療法では
治せない病態もあります。

そういった状況につけいるような
アヤシイ自費診療が存在するのも事実です。

こういうスキがあるのは
医療が未発達な責任でもあると思います。

新しい自費診療が全部ダメなわけでもなく、
ただ有効性がまだ分からない、
というだけかもです。

ただ、理論的に胡散臭かったり、
長い期間有効性が証明されないままというモノは
怪しいと思われますので、
少なくとも身近な人には勧めません。

皆さんには
自費診療については売る方の言葉を妄信せず、
批判的な目も持ってほしいと思います。

迷ったら、
その自費診療を取り扱っていない医師に
相談してみても良いかもしれませんね。

結局、誰を信じられるかというコトになっちゃいますが(^-^;

というワケで、
医療も金融もリテラシーを高めて、
ボッタクリ被害に遭わないようにしましょう!

最後まで読んでくださって、
ありがとうございました~!!!

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