ネット上にある医療情報の真偽について~YMYLについて思うこと

勝手にメス入れ医療問題

こんにちは!
ブログを始めてからネットでの調べモノが増えて、
ネット情報に翻弄されまくっているドクターコンちゃんです!

最近ブログを始めてから遅ればせながら得た知識なのですが、
ブロガーとしてはGoogle検索で表示されるサイトに関して、
YMYLという言葉を押さえておかねばならないようですね。

ナンだ?!
西城秀樹の名曲か?!
(それはYMCAです。一応(^^;))

プログラム言語とか分からな~い!

とネット初心者っぽくうろたえましたが、
当然ネットで調べればすぐ出てきます。

YMYL = Your Money or Your Life

要は、お金や健康に関するサイトについては、
その正確性などをGoogle側が厳しく審査して、
簡単に検索上位に上がらないようにしますよ、
ということのようです。

広告収入で食べているブロガーの間では、
この規約によって
自分のサイトの検索順位が下がったと大騒ぎのようです。

ただ、どっぷり医療界に漬かっている身としては、
無責任な医療情報が氾濫しない方が良いので、
世界一の検索エンジンであるGoogle側の当然の計らいとも感じます。

これについて考えさせられることがあったので書いてみます。

ちなみに、一般の人が
医療情報の信ぴょう性を考える時に役に立つサイトとして、
厚生労働省『「統合医療」に係る 情報発信等推進事業』(eJIM)
がおススメです。

YMYLと医師

YMYL = Your Money or Your Life

お金と健康(または命)に関する情報を表した言葉です。

いずれも、おかしな情報を鵜呑みにすると、
大金をだまし取られたり、
健康被害に遭う可能性がありますねっ。

または健康になろうとか病気を治そうとして、
高額のサプリや健康食品、健康器具などを買わされ、
結局お金を失う可能性があります。

そもそも、
金融商品、不動産、IT、医療などは、
高度な専門知識、経験がないと
情報の真偽すらまともに判断できません。

そのため、情報弱者と言われる一般人は、
上記の分野で明らかにカモにされがちです。

ちなみに医者も金融リテラシーが低い人が多く、
保険会社や不動産業者にとっていいカモになることが多いです。

実は医療に関する話でも、
美容・健康食品の分野では、
ボクら医師は日常の仕事でそれらについて取り扱うことも調べることもなく、
情報弱者であることが多いです。

ただし、普段から病気や薬などの知識には触れているので、
健康食品についてはなんとなくアヤシイなあと気づいたり、
その気になれば論文を調べれば真偽のほどはある程度判断できます。

YMYLが検索上位に出なくなった背景

ネットは怪しい情報だらけ?

ボクはこれまで、ハナから信用できないと思って、
あまりネットでお金や医療情報(論文とかは別ですよっ)を調べてきませんでした。

ブログ運営にあたって情報収集する中で分かりましたが、
世の中には信憑性のない金融や医療情報が溢れかえっていて、
そこからお金儲けにつなげようという怪しいサイトが蔓延してたのですね。

SEO対策(これも最近になって知った言葉ですよ(^-^; )といって、
みんな自分のサイトがGoogleで検索上位に上がるよう色々工夫しています。

公平公正、みんなに有益な情報だから上位に上がるわけではないと。

上位表示されるものの中で、悪意のあるサイトによって、
お金や健康の被害がたくさん出ていたよう、
いや、現在も起きているようです。

健康については、実際の健康被害より、
健康をエサにしたお金の被害の方が多い気がしますが。

そういった商品を売る業者や、
その商品を紹介する記事を書いてお金をもらうブロガーは、
商品が売れてお金儲けさえできればよいのでしょう。

当然、その結果については責任を取らないですよね。

というか、そもそも消費者側に知識がないと、
その商品が実際に良いものなのかどうか、
その値段の価値があるものなのかすら判断がつかないですよね。

つまり、消費者がカモにされていることすら気づかないわけですので、
訴え出ることもないと。

しかしGoogleが対策に乗り出すくらいですから、
相当な被害は出ているのでしょう。

価値のあるネット情報もある?

では、正しい、消費者に得のある情報ならいいじゃないか、
という意見もあるかと思います。

その通りで、
真贋が見分けられる知識、経験、考え方があれば
有用な情報にもなるでしょう。

では誰が見分けられるのでしょうか?

金融、不動産、IT、医療に関しては、
専門的、情報が広すぎ、深すぎ、
またはその業界に足を踏みいれてなければ得られない情報もあり、
他分野の仕事をしている人にとっては
自分で勉強するのは大変ですよね。

最近、比較的善良な、
金融に関する情報サイトやYou Tubeチャンネルもあり、
ボクも参考にすることはあります。

医療情報発信について思うこと

医者の発信する医療情報

医者は発信する医療情報に責任を負う

医者は発信する医療情報にもろ責任があります。

だって、いつも目の前の患者さんに対して医療情報を発信しているから。

ドクターコンちゃん
ドクターコンちゃん

あなたの病気の原因は、家に住み着いている地縛霊のせいです!

ええっ!どうしたらいいんですか?!

ドクターコンちゃん
ドクターコンちゃん

大丈夫です!

このおフダを処方しますので、家の玄関に貼っておいてください。

1枚10万円になります。

・・・・。

・・・有罪確定ですね。

顔を見せて、
立場を明らかにして発信する情報ですから、
上記のようなことは言えません。

現在、分からないものは分からない

また、医療は常に未完成で過渡期ですから、
現時点で分かっていること、
分かっていないことがあります。

科学的に明らかでない事柄でも、
目の前の患者さんに対処しなければならないので、
そこは大部分の医師にコンセンサスが得られていることや、
経験上こうだと思うことを
現時点の最善情報として使います。

逆に、現時点で科学的にはっきりしていなくて、
経験上も分からないことについては、分からないと答えます。

また、医学生の時によく聞いたのが、

First, Do Not Harm(まず、傷つけてはならない)

という言葉です。

要は患者さんに害を及ぼすことを
まず避けよということです。

というわけで、
日本において効果や安全性の証明されていない薬、治療法、サプリや健康食品については、
ボクら医師はその責任において、
分からないモノはおススメしないということになります。

医療情報のフィードバックと改善

薬を処方するのにも、その結果に責任を負います。

医学生の頃、ある基礎教室の教授が言っていました。

副作用のない薬と言うのは、効かない薬だ!

当時は、「ふーん」と思った程度ですが、
今となっては経験的に良く分かります。

ほとんど副作用の出ない薬でも、
出る人には出ます。

それを予測した上で処方します。

副作用が出た場合、ボクらは他の選択肢を提示しますよね。

また、同じような効果、副作用の確率で販売されている薬でも、

「なんだかこの薬はこういう副作用が出る人が多い印象だなー」

と思うことがあります。

そういう時、
「この薬はこれからは出さないようにしよう」、
または「最初は量を減らして開始してみよう」
というフィードバックを受けて、
自分の中での医療情報を日々改善しています。

医療者以外が発信する医療情報

お金儲けのためのアヤシイ商品たち

上に出てきたおフダのような、
誰でも判断できる怪しい治療法ならいいのですが、
これはどうでしょう?

ドクターコンちゃん
ドクターコンちゃん

実はここだけの話、まだ厚労省未承認ですが、
アメリカで開発された『健康になりたい人のための水』があるんですよ。

ボクが個人輸入しているのですが、もしかしたらあなたに合うかもしれません。

保険はきかないので30万円になります。

自分で書いておいてなんですが、
詐欺師になったみたいで気持ち良くないですね(^_^;)

上記の水もいかにも怪しいんですが、
こういう商品が世の中にはたくさん出回っており、
その購入に誘導するためのサイトもあるようです。

問題は、この水は効くのかもしれないし、
効かないかもしれない事です。

ボクらは、前述のように、
日本で効果や安全性がヒトを対象にした実験で証明されていないモノはおススメしません。

ただ、副作用が全く出ないなら
(つまり効かない可能性もありますが)
お金持ちは自己責任で試してみてもいいかもしれません。

ただの水だったら、
健康被害が出ることはないでしょうし(笑)

医薬品でなく食品扱いなので、
効果のほどがよくわからない商品でも簡単に販売できてしまうため、
たくさんの健康食品が横行しているという側面もあります。

ほとんどのサプリ、健康食品は副作用がでないのでしょうが、
たまに健康食品で副作用の報告があります。

だからボクはおススメできません。

医療情報発信側、商品販売側が責任を取らない

副作用がたくさんの人に出た場合は
もちろん販売者の責任も問われるでしょう。

ただ、そもそも健康食品の類は
医薬品のように劇的な影響を体に与えるものではないので、
それゆえに副作用は出にくいです。

また、ある治療法が効果があるのかないのかは
検証が非常に難しいです。

プラセボ効果といって、
偽薬でもシャム手術(偽手術)でもよくなった気がするというのは
研究でよくわかっていますし、ボクらもよく経験します。

効果については、サプリ、健康食品であっても、
本来、日本人の大規模な臨床研究で証明されなければなりませんが、
日本ではあまりこの研究が行われていません。

副作用はあまり出ないが、
効果のほどが明らかでない健康食品、健康法が氾濫しているのです。

ボクら医師は病気、症状を治すことが求められるため、
患者さんに効果がないと言われれば薬を変えます。

ネット情報の健康食品、健康法については、
効果がなかったとして、誰も責任を取りません。

よくあるのは、『〇〇の場合は医師にご相談ください』という、
結局こっちに丸投げか~い!という一文。

それさえ書いとけば自分たちの責任は果たしているかのようです。

『効果がなければ返品可!』
という謳い文句で売っているものも多いようですが、
返品に費やす時間や労力が面倒なため、
返品を申し込まない人も多いでしょう。

おそらく、返品がある程度あっても儲かる値段設定なのでしょう。

また、医薬品と違って、
その商品、医療情報が良いものかどうかの調査、研究も行われません。

情報発信者は善意のつもりかもしれないが・・・

論文を読んだり、自分で試した結果として、
このサプリ、健康食品、健康器具、健康法は良い!
と善意から発信する人たちも多いでしょう。

医師から言わせてもらうと、
情報発信者一人だけのサンプルデータをもって、
皆に効果があるなどと断言できません。

また、英語論文でまとまったデータが出ていたからといって、
いきなりそれを100%信じて自分の医療の中で実践することもしません。

治療法の効果、副作用は、
患者さん一人ひとりでばらつきがあることを知っているからです。

また、現在ベストと思われていた方法について、
将来、反証データが出ることも多いです。

そもそも論文データがねつ造されていたりすることもあります。

そして実践の結果に責任を問われるのはボクらであり、
論文執筆者の責任ではないのです。

そもそも論文の統計データというのは、
低確率の副作用、合併症を飲み込んで、
全体としてこれが良さそう、と言っているだけなのです。

ボクらにとっては、
患者さん一人でも重篤な副作用、合併症が出るなら、大変なことです。

医師の仕事の一つは、
その一人をいかにゼロに近づけるかであり、
それぞれの医師が
それぞれの経験に基づいて日々細かい調整をしていることと思います。

ネット上だけの医療情報発信者は、
その結果について責任を取らない、取れる立場にないです。

また結果についてフィードバックを受けて、
自分の中の情報を微調整し発信しなおすといったことができない、
というかそんな医療相談みたいなことは資格がない人がやってはいけません。

まとめ

書き出したら熱くなってしまい、
やたら長文になってしまいました。

一般の人が、医療情報についてネットに踊らされずに、
自分で考えていただけるようになるとうれしいです。

また、不要な健康被害をこうむったり、
効果のない商品に多額のお金を費やしたりしないといいな、と望みます。

かかりつけ医がいる方は、
ネットで知った健康法や健康食品を実践したり購入する前に
医師に聞いてみたほうが良いですねっ。

長くなりましたが、最後まで読んでくださって、
ありがとうございましたーーー!!!

参考資料:厚生労働省『「統合医療」に係る 情報発信等推進事業』(eJIM)

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