ナゼ医学論文が捏造されるのか ~研究モチベーションの拠り所は名誉欲!?お金!?

医者雑談

こんにちは!
臨床研究や論文作成にイマイチ熱が入らない理由は、
『患者第一』を貫いているからだ!とイイワケしているドクターコンちゃんです!

近年、大学などの大きな機関から、
過去に発表された論文の不正が見つかり、
取り下げられたりする不祥事がチラホラありますね。

STAP細胞も記憶に新しい大事件ですが、
新薬の承認にも絡むような論文の黒いハナシもありますよね。

アジア諸国からも、同様のニュースが聞こえてきます。

(ああ、論文なんてあんまり書いてなくてよかった、と負け惜しみ)

そもそも医学研究は他分野と同様学問なわけで、
純粋な探求心、好奇心、
はたまた人命を救いたいなどの使命感といった、
高尚なキモチから行われるものだといいですよね。

(たいして研究していない身分でこんな偉そうなこと言うと、
知り合いに小突かれそうです)

間違いだと分かっていてデータをねつ造するのが問題なのですが、
事実を捻じ曲げて良い結果を得ているワケで、
結局その原因は、
学問的な真実の探求と言う純粋な動機ではなく、
不純な動機からくるもの、ということになります。

さて、勝手に不純な動機について挙げてみました。

それまでにかけた労力を無駄にしたくないため

ボクも多少は臨床研究のようなことを過去にやってみてはいますが、やはり研究は大変です。

研究の流れは大体以下の感じです。

  1. ある仮説を立てる
  2. 実験したり、臨床データを細かく調べたりして、膨大なデータを集める
  3. 統計学的に仮説を検証する
  4. 仮説が肯定されれば論文執筆、発表。仮説が否定されれば、1または2に戻る

とにかく、2の段階が、めちゃくちゃ時間がかかります。

しかも誰かが以前に発表した内容の追試ならまだしも、
何か新しいことをやろうとしたり、
自分は研究のド初心者だったりすると、
同じ道を行ったり戻ったり、試行錯誤の繰り返し。

データ量も多ければ多いほど信ぴょう性が増すので、
当然作業時間が増えます。

ボクも若い頃は、一人深夜まで病院に残って
パソコンと睨めっこを毎日やったこともあります。

なんとかデータをまとめ、
いざ統計ソフトで検証してみたところ、

「有意差なし(ようは調べた意味なし)」(チーン・・・)

これはツラいです。悲しいです。

たいてい超深夜になっているので、
ヤケ酒する時間もありません。

会社だったら、上司に、

「この資料、明日までにエクセルにまとめといて」

と言われ、徹夜で仕上げたら、翌朝、

「あ、あれ要らなくなったわ」

って言われるのと同じくらい、凄まじい徒労感です。

朝からヤケ酒です。

というか、自分で発案した研究なら、
怒りの持って行きようもありません。

思わず、

「あ、このデータをこうしたらいい結果になるんじゃない?」

という悪魔のささやきに、乗ってしまいたくなる気持ちもワカラナクモナイ。乗ってはいけません。

たくさんの人や費用を使った研究だったら、
猶更、何とか結果を出さないと、
という周りからのプレッシャーもあるでしょうね。

偉くなるため、有名になるため

そもそも、英語論文を雑誌で発表するモチベーションは、純粋に、

「この研究結果をみんなに知らせて、人の役に立ちたい!」

というものもあるでしょうが、
出世のためという側面は大いにあります。

大学教授などの大学の要職や研究機関の重要なポストに就くためには、
たくさんの英語論文を有名雑誌に載せてもらわなければなりません。

大学院で博士号をもらうためにも、
できるだけ有名雑誌に載る必要があります。

ポストに就いてからも、部下の指導をして論文発表させるのは、
自身の名誉のためでもあり、機関の長としての責任でもあります。

こういった名誉欲は、否定するべきではありませんし、
(後にも述べますが)
論文が誌面に載ると政府からお金がもらえる国に比べると、
遥かに純粋なココロモチだと思います。

むしろ日本の医師においては、
学術的貢献のご褒美が、
どこかの長に収まらない限り、
名誉欲にしかないというトコロもあります。

近年の若手医師はドライで、
出世や名誉に無関心な人が多い印象です。

そのため、臨床能力の向上に関係のない研究や論文発表を避ける傾向が強く、
日本の英語論文発表数は減っています。

(とかボクなんかが憂いて言うと、
また知り合いから鉄拳制裁を喰らいそうですが)

お金のため

これは最もダークな感じです。

中国が近年、
すごい勢いで医学英語論文の発表数が伸びています。

しかしその実態は、
英語論文が掲載されると、
中国政府からお金が支払われる仕組みのようです。

しかも、もともと中国の医師は日本や他国に比べて、
地位も給与も低く、
お金のために論文を頑張らないといけないそうです。

以前、日本に勉強に来ていた中国のドクターと話したことがあります。

中国にも、有名な、羽振りの良さそうな医師がいる印象だったので、
そういう人はどうやって稼いでいるのか、と聞いてみました。

「ブラック・マネー」

の一言でした(^_^;)

論文執筆は、直接的にお金のためもあるのでしょうが、
有名になってソデの下がもらえるドクターになるためにも必要なのでしょう。

アメリカなど、他の国にも、
有名雑誌に研究論文が載ると、お金が出るところはあるようです。

実際アメリカでも、実績を作って、
研究機関に終身雇用ポストを確保するというのは、
研究者にとって重大な目標であるようです。

頑張ったご褒美が、精神的満足だけではなく、
経済的成功でもあるというのは、
職業として研究のみに一生を捧げる研究者にとって
必要なことだと思います。

日本においては、それが十分得られないため、
一生研究者という医師は少なく、
大学院在籍中の数年だけ研究を行って、
後は臨床をするといった
片手間研究者ばかりになってしまうのでしょう。

でも、特に海外では、お金のために、
不正なデータで論文を書いて
取り下げになる例もあるようなので、
手放しに金銭的見返りを奨励すべきとも言えませんが。

先に述べた、製薬会社の新薬の承認を取るための研究なんかの例もありますしね。

まとめ

軽いノリで考えた話のつもりが、
ちょっとヘビーになってしまいました(´・ω・`)

学術的好奇心の他に、名誉欲と金銭欲は、
研究者として仕事をするモチベーションとして当然あってもよいと思います。

結局は、どんな仕事でもそうですが、
行き過ぎないように倫理観を優先する必要があるということでしょうねっ。

エラそうに言っておいて、
ボク自身は医学会への貢献がまだ足りないという反省があるので、
できるだけ頑張りたい、とも思います。

そして、直接的な見返りがなくても大変な研究を日々されている人たちを尊敬し、感謝しています。

(これでフォローできましたかね?(^^;))

最後まで読んでくださって、
(控えめに)ありがとうございましたーーー!!!

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