今日も仕事ができるのは
ひとえに奥さんのおかげです、
がモットーのドクターコンちゃんです!
あらゆる職場において、男女間のキャリア差については問題になっておりますが、それは医者の世界でも同様です。
女医を奥さんに持つボクにとっても耳がイタイ話題ですが、日本よりは女性の登用が進んでいるアメリカであっても、まだまだ課題は多いようです。
というワケでそんな内容の論文がありました。
Discrepancies in Work-Family Integration Between Female and Male Orthopaedic Surgeons
(整形外科医における男女間のワーク・ファミリー・インテグレーションの不一致)
Danielle Y Ponzio et al. J Bone Joint Surg Am. 2022 Mar 2;104(5):465-472.
ワーク・ファミリー・インテグレーションという言葉についてちょっと説明します。
ワーク・ライフ・バランスという言葉はよく聞いたことがありますが、
家庭持ちの人において仕事以外のライフというのは、ほとんど家族に関わることになるので、
ワーク・ファミリー・バランスとも言われるようです。
最近はワーク・ファミリー・インテグレーション(仕事・家庭間の統合)という言葉で表されるようです。
この仕事と家庭のバランスを欠いた状態を
ワーク・ファミリー・コンフリクト(仕事・家庭間の対立)とも言いますが
この状態は、うつなど含めた健康問題を引き起こし
幸福度を下げ、組織のパフォーマンスを低下させ、離職につながるとされます。
というワケで、仕事と家庭のバランスが大事なんですが、
この論文内の研究は、女性整形外科医は男性整形外科医に比べて
このバランスが悪いのではという推測のもと行われました。
さて、アメリカの整形外科医の女性153人、男性194人に対し
自分の仕事や子供、親の介護の状況、満足度などについてアンケートが取られました。
要点は以下の通り。
- 女性整形外科医は男性整形外科医に比べて、家庭を築き始めるのが遅い。
- 女性整形外科医は男性整形外科医に比べて、不妊治療を要すことが多い。
- 女性整形外科医は男性整形外科医に比べて、家庭でより多くの責任を負っている。
- 女性整形外科医は男性整形外科医に比べて、学術的、指導的立場にあることが少ない。
- 女性整形外科医は男性整形外科医に比べて、年収が少ない。
- 女性整形外科医は男性整形外科医に比べて、ワーク・ファミリー・バランスの満足度が低い。
これらの根っこは全て同じで、
家庭での役割、出産、育児において、
女性整形外科医の方が男性整形外科医よりも多くの時間を取られていることが原因です。
男性整形外科医は学生や研修医などキャリア形成の最初の段階で結婚しても
家事、出産、育児で時間が取られることが少ないため
女性整形外科医に比べて早く結婚する傾向にあります。
それに対して
女性医師はある程度トレーニングが終わってから結婚、出産することが多く
自然と高齢出産が多くなり
不妊治療を要する率も高くなります。
結婚後も家庭での家事、育児、親の介護などで主な役割を担うのは
医師であっても女性が多いとのことです。
生涯を通して女性の方が家庭内の役割に時間を割かれるためか
組織のポジションでも男性の方が優位なことが多く
平均年収も男性の方が高くなっています。
(ただアメリカの女性整形外科医の年収が男性整形外科医より低いとは言っても、日本に比べたらはるかに高年収です。
論文内のデータを見た時、ボクは鼻血が出そうになりました(^^;))
女性医師も男性医師と同様に働き、家での責任は男性医師より重いとなれば
当然、男性医師よりもワーク・ファミリー・バランスの満足度は低くなりますよね。
アメリカでもそんな感じなんだ、と思ってちょっと安心、正直驚きました。
この論文では、女性が成功した整形外科医でいられるようにサポートするため
このワーク・ファミリー・インテグレーションの男女間不一致について
広く呼びかけねばならない、とまとめています。
この論文を読んだ時点で
ボクは他の男性医師から一歩リードですな、ふっふっふっ。
ボクもさらに奥さんの仕事を手助けするべく
家庭での役割を果たす所存であります!
(と、誰もいない部屋の中心で、隣の部屋の奥さんに聞こえるように叫ぶ)
最後まで読んでくださって、
ありがとうございました~!!!
<参考文献>
Discrepancies in Work-Family Integration Between Female and Male Orthopaedic Surgeons
Danielle Y Ponzio et al. J Bone Joint Surg Am. 2022 Mar 2;104(5):465-472.
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