今さらだけど読んだ方がいい本『新型コロナとワクチン 知らないと不都合な真実』

読書ネタ

こんにちは!
ドクターコンちゃんです!

まだまだ新型コロナウイルスとの闘いが続きそうな様相ですね。

皆さん、ストレスを感じながらの生活、お疲れ様です。

なんとか乗り切っていきましょう!

ところで、ボクは医師とは言えども、新型コロナ感染者の診療やワクチン接種の最前線にいません。

最前線の方々のご苦労を聞くにつけ、本当に頭の下がる思いですし、ボクの代わりに矢面に立っていただいていると思うと心苦しくも感じます。

ありがとうございます。

さて、ということもあり、新型コロナについて、ボクは本当の意味での一次情報は持っていません。

そのため、ワクチン接種が始まる前は、一般の人同様、新しい核酸ワクチンに対し、得体の知れない恐れを感じていました。

周りの医療従事者の間でも、巷のデマ情報に踊らされているような言動も見受けられました。

不安というのは、知らないこと、未知のことに対して抱くものだと聞いたことがあります。

というワケで、いろんな不安を少しでも解消するため、できるだけ正しく新型コロナウイルスについて理解するために、今さらですが、この本がおススメです。

まずお伝えすると、
この本は新型コロナワクチンを否定するものではありません。

しかし手放しで推奨しているものでもありません。

あくまで事実に基づいた情報を説明し、
最終的には自分たちの頭で考えてね、というスタンスです。

この本の良いところは、新型コロナだけではなく、
医学統計に基づく判断の仕方、
医療リテラシーの根幹とも言える論理的思考が少し身につくことです。

新型コロナワクチン接種が始まる前の情報で書かれていますが、
核酸ワクチンの仕組みや、ワクチン開発の背景など含めて勉強になります。

しかも対話形式で一般の人にも読みやすいです。

通読をおススメしますが、ボクが気に入った項目について、私見も交えて少し紹介します。

国民全員PCR検査の意味の無さ

昨年だったと思いますが、PCR検査について、ずっと議論されてましたね。

中には、「とにかく国民全員PCR検査しろ!」と吠えていた人たちもいたような・・・

ボクもこの本を読むまでは、
できるだけPCR検査はやりまくった方がいいのではないかと安易に考えていました。

大事なのは、検査の感度と、特異度の考え方です。

どんな医学検査でも共通の考え方ですが、今回は新型コロナの例に則して説明します。

感度・・・感染している人を、感染していると正しく診断できる確率

特異度・・・感染していない人を、感染していないと正しく診断できる確率

医療統計では初歩の初歩の話なので、
医師を始め医療従事者の人たちには当たり前かもしれません。

でも、言葉は知っていても、このテクニックを現実問題でどう使うか、という点では、
ボクを含めてよく知らない人も多いのではないでしょうか。

感度

この本の中では、

新型コロナウイルスPCR検査の感度 = 約70% です。

つまり、感染者100人のうち、PCR検査で陽性になるのは70人だけです。

あとの30人は、感染しているのに検査陰性となり(偽陰性と言います)隔離も診療もされません。

これが、感染者10万人に検査をすると、3万人は偽陰性になり、この3万人は隔離、診療されません。

感染者50万人なら15万人が偽陰性と、
検査する人数が増えるほど、検査で陽性にならなかった感染者が世の中に増えることになります。

特異度

次は特異度について見てみますと、

新型コロナウイルスPCR検査の特異度 = 99%以上 です。

感染していない人100人に検査をすると、99人は陰性と正しく判定されますが、1人は間違って陽性となります(偽陽性と言います)。

検査する人数を増やすと、感染していない人10万人のうち、1000人が間違って偽陽性となり、隔離されます。

感染していない人50万人を検査すると5000人が偽陽性となり、隔離されます。

検査すればするほど、偽陽性の人に対する、無用の隔離措置がたくさん必要となります。

無症状でのPCR検査は感染制御において意味がない

つまり、症状のあるなしに関わらず検査をしまくると、
結果、偽陰性なのに無罪放免と勘違いして他人と飲酒して騒いだりする人も増えますし、
偽陽性だと無用に隔離されることにもなります。

というワケで、無症状であれば、PCR検査で陽性だろうが陰性だろうが、
自分が感染しているかどうかは、完全には分からないということになります。

逆に、明らかにあやしい症状がある場合は、
PCR検査陽性と出れば、感染している可能性は極めて高くなります。

症状や肺CTでいかにも感染者っぽい場合は、
PCRを何回やっても陰性の時、抗体検査もやって確定診断することもあるそうですし。

本の中にもありましたが、
結局、医師が診察して、PCR検査が必要かどうかを選り分けるという行為は、
検査前確率を上げる、という大切な手順だということです。

むやみに検査しても白黒つけられない以上、
症状がない場合でも、PCR検査の結果に関わらず、
とにかくソーシャルディスタンスを守るというルールは、
まあまあ正しいという事になります。

振り返ってみると、テレビのコメンテーターなど含めて、
PCR検査の考え方など、知識もないままいい加減な情報を流布する人がたくさんいたものだなあ、と思います。

最近は世間の目がワクチンの話題に集まり、
感染制御のフェーズが移行しています。

そのため、とにかくPCRしろという意見はもはや見かけないようですが、
当時、全員PCRしろと言っていた方はどこへ行ったのでしょうね。

同様な風潮で、今度はワクチンをネタに、
また何の科学的根拠もないうわさが吹き荒れていそうですが。

核酸ワクチンの超スピード実用化

これも今さらですが、新型コロナウイルスワクチンから、
これまで実用化されていなかった核酸ワクチンというものが使用されるようになりました。

これまでは、生ワクチンや不活化ワクチンといったものが長年使われてきました。

これは、弱くした病原体そのものをヒトに感染させたり、
病原体を構成するタンパク質の一部をヒトに注射することで、抗体を作らせる、というものです。

結局は、ウイルスのタンパク質そのものをヒトに注入することになります。

これらの技術は実用化されてから時間が経っており、安全性も確立されてはいます。

でも、この方法で新たに、新型コロナウイルスのワクチンを作るには時間がかかりすぎるそうです。

そのため、技術としては存在したものの、
まだ実用化はされていなかった核酸ワクチンに白羽の矢が当たりました。

これは、かつてのようなウイルスのタンパク質そのものを体に注射するのではなく、
ウイルスのタンパク質を作るための遺伝子情報(一番使われているのはmRNA)を注射します。

タンパク質の完成品ではなく、設計図を注射するという事ですね。

そして、ヒトの細胞内にこのmRNAが入ると、
細胞がもともと持っている性質によって、
mRNAという遺伝子情報(設計図)から、
ウイルスのタンパク質の一部が細胞内で組み立てられる、という事です。

次に、かつてのワクチン同様、
そのタンパク質に対する抗体が体で作られます。

本来なら、安全性など含めて、臨床実験をたくさん繰り返し、
10年から20年先に実用化されるはずであった技術です。

ただし、パンデミックという緊急事態においては、
いろいろな実験や手続きをすっ飛ばして、
最速で実用化までもっていく必要があったようです。

今のように、広くワクチン接種がされる前の臨床実験段階でも、
副反応はかなりの率で出ていたとのことです。

現在、ワクチン接種後の副反応が問題になっていますが
(副反応かどうかもまだ明らかにされていませんが)
副反応がある程度起きることは、
すでに織り込み済みであったと言えます。

それでも、新型コロナウイルス感染で亡くなる人の数を考えると、
ワクチンの改良を待っていられなかった、という事です。

アイスクリーム理論に踊らされるな

アイスクリーム理論とは

新型コロナウイルスがパンデミックとなり、
デマもホントも含めていろんな意見が飛び交うようになりました。

ハッキリ言って、
全人類の誰も見たことがない新しいウイルスなのですから、
全世界に一人も専門家がいないのです。

研究者も医師も、誰もが初心者でスタートしているので、
データが出そろう前に、憶測でモノを語る人が増えてしまいました。

単なるデマであっても、
それが嘘かどうか誰にも判断つかないという事です。

この本でも紹介されていますが、
そんな中、アイスクリーム理論という言葉が少し流行りました。

これは、

・夏にアイスクリームが売れる

・夏に水難事故が増える

⇒ だからアイスクリームが売れると水難事故が増える

という、実際には関連の無いアイスクリームと水難事故を、
理論的裏付けがないままに勝手に結び付けることを揶揄して言った言葉です。

同時に現れた現象だからといって、因果関係があるとは言えません。

アイスクリームと水難事故は関係ないことくらい、誰でもわかるでしょう。

・夏は暑い ⇒ 冷たいものを食べたい人が増える ⇒ アイスクリームが売れる

・夏は暑い ⇒ 海水浴に行く人が増える ⇒ 水難事故が増える

という理屈を、みんな分かっているからです。

アイスクリームと水難事故は、
いずれも夏という原因の結果でしかないということです。

医療者もアイスクリーム理論に陥る

しかしこれが医療になると、
医師であってもアイスクリーム理論に陥ることがあります。

そもそも、目の前で起きた現象のメカニズムがはっきりしていない場合、
何が原因か推測すらできません。

すると、脳は安易なストーリーで説明づけようとして、
目の前の二つの事柄を根拠なしに結び付けてしまいます。

新型コロナウイルス感染の後、
ED(勃起不全)になる人が何人もいたという結果がでました。

そのため、

・新型コロナウイルス感染 ⇒ EDになる

・新型コロナウイルスのワクチン接種 ⇒ EDになるかもしれない

という憶測が、根拠なしに飛び交います。

そもそも、なぜEDになったのか、というメカニズムすらはっきりしていないのです。

ウイルスそのものが増殖して生殖器官に悪さをしたのか、
ウイルスに対する免疫反応が暴れて生殖器官に悪さをしたのか、
ひどい感染症との闘いで体が消耗した結果なのか、
持続する高熱による生殖機能の低下か、
微小血栓が生殖器官にいく血流を悪化させたのか・・・

想像だけなら、理由は勝手に色々考えられます。

第一、ワクチンはウイルスのタンパク質の一部をヒトの体内で作らせるものであり、
ウイルス丸ごとが体に入る感染とは違います。

ウイルス丸ごとが体に入れば、遺伝子の一部であるワクチンと違って、
ウイルスの遺伝子丸ごと細胞内に入ることになるので、体の反応も違うでしょう。

こういうワクチンに対する根拠のないうわさがあるせいか、
イタリアから、新型コロナウイルスワクチン接種後でもEDは増えない、というデータが論文で発表されていました。

結局、十分なデータが出るまでは誰にも何とも言えないのですが、
結果だけを見て判断せず、
その結果が起きるメカニズムに考えを巡らせるようにしないと、
罠にはまるという事だと思います。

(私見)核酸ワクチン接種による副反応と、実際にウイルス感染した時のリスクについて考える

ここからは本の紹介ではなく、最近の私見です。

ワクチンの副反応による死亡率と、ウイルス感染重症化による死亡率の、いずれの方が高いか

ウイルス感染で重症化するメカニズムが、
免疫機能の過剰な反応の結果である可能性もあり、
ワクチンで同じような反応が起きないとは限りません。

ワクチンの副反応で亡くなるとしたら、
免疫応答の結果ではないかと思います。

今の所、ワクチンの副反応で死亡する可能性は否定されています。

副反応による死亡例を認めてしまうと、ワクチン接種が広がらず、
結局、本物の感染が広がるという結果を恐れての、政府側の意図かもしれません。

または本当に、統計学的に因果関係が見いだせないくらい、
副反応による死亡が少ないのかもしれません。

ここで、政府や製薬会社の発表の真偽について考えたり、批判したりしても意味がありません。

問題となるのは、実際にウイルスに感染して死亡する確率と、
ワクチン接種の副反応で死亡する確率の、どちらが上か、ということです。

もちろん公式発表では、ワクチンによる死亡が確認されていないということなので、感染による死亡率の方が圧倒的に高くなりますが。

変異株を除けば、海外での実績からすると、ワクチン接種による、感染の重症化予防の効果はありそうな気がします。

ただし、一定確率で、ワクチンによる副反応が重症化するリスクもゼロとは言えません。

感染後の後遺症についてはどうか

また、先ほどのEDの例もありますが、
ウイルス感染後、呼吸困難や嗅覚障害など、さまざまな後遺症が報告されています。

ウイルス感染後に起きる後遺症の確率と、
ワクチン接種後に起きる後遺症の確率と、
どちらが上になりそうか、ということも考慮しないといけません。

ワクチン接種後に、嗅覚障害など、感染後に報告されているようなさまざまな後遺症は今の所聞き及びません。

個人的には、理屈としては、過剰な免疫応答は、ワクチンよりも、ウイルス丸ごとが体に入った方がリスクが高いのではないかと思います。

ワクチンで後遺症発症リスクを減らせるならば、
死亡率とは別にして、意味があるかと思います。

絶対に感染しない自信がある人は、ワクチンを打つ必要なし

ハッキリ言って、絶対に新型コロナウイルスに感染しない自信があるならば、
副反応を避けるためにワクチン接種はしない方が良いでしょう。

無人島で、今後たった一人で一生を送るのならば、それも可能でしょう。

でも、人間社会で生きていくならば、
新型コロナウイルスが全くいない環境など、もはやあり得ません。

ワクチンでウイルスの一部の遺伝子を細胞内に入れるか、
そうでなければ感染でウイルスの全部の遺伝子を細胞内に入れるか、
いずれにせよ体内にウイルスの遺伝子が入る機会は訪れるでしょう。

感染しても絶対に重症化しない自信があるならワクチンを打つ必要なし

また、感染しても絶対に重症化しない自信があるならば、ワクチン接種しなくてもよいでしょう。

自分が無症状でも、家族が重症化するかどうかはまた別問題ですが。

ウイルス感染した時の重症化のメカニズムや、重症化する人の条件が、完全に解明できていないので、自信も何もありませんが。

しかも変異株が増えて、以前は低リスクだった人が重症化するということも起きています。

もはや重症化するリスクは、高齢者だけではなく、誰にでもあるでしょう。

まとめ

ウイルス感染する可能性は誰にでもあり、
感染した時の重症化リスクすら誰にでもあります。

つまり無人島に一人でいない限り、
感染で死亡するリスクはずっと付きまとうということです。

今後、インフルエンザのように特効薬ができるまでは、
重症化リスクを減らす可能性のある方法は、今の所ワクチンしかありません。

世界中の政府が嘘をついているという前提で、
実はワクチン接種したほうが死亡率が高いと信じるならば、ワクチンを打たなければいいと思います。

結局は確率論でしかないですし、データが出そろっていない現在においては、どちらかを信じるしかありません。

ボクとしては、ワクチンによってウイルスの遺伝子の一部を体に入れるか、
感染によってウイルスの遺伝子全部を体に入れるか、の2者択一だと思うので、
理屈上、体への影響が比較的軽く済みそうな方がいいかな、とは思います。

というワケで、最後の方は日記みたいになってしまいましたが、
最後まで読んでくださって、
ありがとうございました~!

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