名医の見つけ方~中の人にしか良い医者は分からない

勝手にメス入れ医療問題

こんにちはー!
自分が受診する場合はどの病院に行ったらいいか、
医者のクセに悩んでるドクターコンちゃんです!

さて皆さん、
新たに病院やクリニックに受診する場合、
どうされますか?

最近はネットで口コミなどを調べてから受診する方も多いと思われますが、
正直、ネット情報は偏りがあって、
何を信じてよいのかわからないトコロもあります。

今回は、ボクが考える、
良い医者見つける方法についてお話しします!

結論から言いますと、以下になります。

  • 実際に受診したことがある人の話を聞く。
  • その病院・クリニックのスタッフに聞く。
  • 同じ分野の医者に聞く。

もう少し細かく説明していきます。

良い医者とは

ところで、良い医者とはどんな医者でしょう?
ボクが思うに、以下のような人が当てはまるかと思います。

  • 話をよく聞いてくれる、やさしい医者
  • 診断力のある医者
  • (手術や検査手技などの)ウデのある医者

話をよく聞いてくれる、やさしい医者

始めて受診するとき、
これが最も患者さんが気になるところではないでしょうか。

どんな医者かは、会って話してみるまで分かりませんよね。

結局、患者さんの評判、口コミというのは、
診療能力そのものよりも、
コミュニケーションの部分が多くを占めている印象です。

口調が冷たい、話を聞いてくれないといった、
いわゆる『塩対応』は、悪い口コミの元ですよねっ。

また、話をよく聞かないと、
診断に必要な情報が漏れてしまうこともあります。

『問診だけで、8,9割くらいは診断できる』

これは医師の間では有名な話ですが、
ボクも学生の時や、医者になりたての時は、信じられませんでした。

整形外科の領域では、
さすがにレントゲンやCT,MRIなどの画像検査は必要だろう、
むしろそれさえあればいいだろうと思っていました。

しかし、長年医師をやっていると、
検査前にほとんどの場合は診断がついていて、
確認のために検査をするというのが当たり前になってきます。

逆に、画像検査だけだと診断に迷うことも多く、
問診、身体所見を取って、
検査前の診断確率を上げておかなければなりません。

というわけで、患者さんの話を聞くのは、
ホスピタリティの面からも、
診断の面からも大切と思っています。

診断力がある医者

先に述べたように、問診をしっかり取れば、
ほとんどは診断がつきます。

この能力を上げるには、

問診 ⇒ 診断のあたりをつける ⇒ 検査 ⇒ 診断が正しいことを確認する

という、成功体験を多数経験する必要があります。

しかし、ある時点で
逆にこの経験がバイアスとなって、
よくある疾患でも稀な症状の場合や、
またはありきたりな症状だけど稀な疾患という場合に、
正確な診断がすぐにはつけられないという事が起き得ます。

そこでまた反省して、勉強して、
経験をさらに増やしていく、というフィードバックが必要になります。

つまり、診断能力の向上には、経験年数も大事ですが、
患者さんの訴えを真摯に受け止め、
自分の診断が正しいかを批判的に見つめる姿勢も大切です。

結局、話をしっかり聞く医者であることが、
診断能力向上にもつながるかと思います。

(手術や検査などの)技術のある医者

手術や、上部消化管ファイバー検査、心臓カテーテルなど含まれますが、
もともとの手先の器用さとトレーニングによる上達が必要なものです。

正直、この能力は、
話しやすいとか、やさしいかどうかとは別モノです。

医師の性格の話で言うと、手術の上達のためには、
勇敢さと慎重さがバランスよく必要と言われます。

勇敢すぎる外科医

初心者の頃から積極的に手術を経験しようとするため、
若いうちにどんどん上達します。

しかし、慎重さに欠け、
大きなミスをする危険があります。

または小さなミスを気にしない、
自分の未熟さに気づかないため反省せず、
さらに高みに昇ることができません。

慎重すぎる外科医

初心者の頃に臆病になりすぎ、
先輩に頼りすぎたりして、
なかなか手術経験を積めませんので
上達が遅くなります。

そのまま年齢だけ重ねてしまうと、
責任ある地位について後輩に頼られる立場となっても、
手術ができない、後進の指導もできない体になってしまいます。

そこそこ勇敢、そこそこ慎重な外科医

結局、中道がちょうど良いという事です。

勇敢すぎる外科医よりは上達スピードは遅いですが、
自分のリスク許容度に応じて経験を積めます。

また、ミスをしないことにも気を配るので、
大きな失敗は少なく、
自分の未熟さに反省して技術を改善することができ、
最終的に勇敢すぎる外科医よりも高みに昇る可能性があります。

この、中道のいい感じなバランス感覚のある医師は、
人柄も良いことが多い印象ですね。

良い医者は誰が知っているのか

では、良い医者を見つけるためには誰に聞けが良いのか、説明していきます!

  • 実際に受診したことがある人の話を聞く。
  • その病院・クリニックのスタッフに聞く。
  • 同じ分野の医者に聞く。

実際に受診したことがある人に聞く

当然、以前受診したことがある人のいう事は信じられますね。

良いうわさも悪いうわさも、
ネット情報は発信側の意図が入っていて、
真実ではないことも多いです。

そこまで積極的に発信はしない大人しめの方もたくさん世の中におられ、
やはり今も昔も、生の口コミというのは最も信頼できる情報源ですね。

近所に根付いたクリニックだと、
院長の人柄がモロに集客力に現れますしね。

その病院・クリニックのスタッフに聞く

受診しようと思った病院・クリニックに勤めているスタッフ
(看護師さんや医療事務さんなど)に知り合いがいるなら、
医師の評判を聞いてみることをおススメします。

診断や手術のウデに関しては、
スタッフであっても正確に判断することは難しいかもしれませんが、
しっかり話を聞いてくれるか、親切かどうかといった、
医師の人柄についてはスタッフは嫌と言うほど知っています(笑)。

最近は、初診外来予約の電話で、
やさしい医者を希望する患者さんもいるようですね(^-^;

同じ分野の医者に聞く

医者の友達がいればいいのですが、
これは現実的には、医療関係者でなければ難しいことが多いですよね。

上記の病院・クリニックのスタッフの知り合いを介して、
『この分野ではどの医者が良いか』
医者に聞いてもらうというのがいいかもしれませんね。

ただし、手術などの特殊技能の能力の高さについては、
ホントの所、同じ分野の医師にしか判断できません。

要は、いろんな世界の職人仕事と一緒で、
自分でも同じ仕事をやっている人が、
自分を基準にしてしか、
ウマいかヘタかを見分けることはできないのです。

当然、同じ病院であっても、違う科の手術は、
自分がやっていないのでよく分かりません。

ヘタすると、同じ整形外科であっても、
分野が多岐に分かれているので、
自分のやっていない領域のことはよく分からないこともあります。

ある医師の手術のウデを知りたいときは、
その医師と同じ病院、同じ科で働いている、
または働いたことがある医師に聞きます。

整形外科の中の、自分と同じ分野であっても、
全国の他の病院の医師になると、ウデのほどは全く分かりません。
(手術見学に行くとさすがに分かりますが。)

全国の他の病院の医師と、
研究会や学会、手術見学、手術のキャダバートレーニングなどの機会にお話しすることがあります。

そういう時に、高名な某大学教授のいる医局に属している医師から、
ウチの教授は手術はヘタであるとか、
学会では先進的な手術の発表をたくさんしているが
意外と合併症が多いなど、
裏の話が聞けることもあります。

有名だからオペが上手いわけではないというのは、
外科系医師の間では当たり前の事実です。

そもそも、肩書があって有名と言うのは、
英語論文をたくさん書いて偉くなった人が多く、
手術のウデを磨くことに重きを置いている医師とは、
医師としての時間の使い方が違うのです。

人間は等しく1日24時間しかありませんので、
臨床に没頭すれば研究や英語論文執筆の時間が取れず、
逆に研究や英語論文執筆に時間を割けば、
臨床に携わる時間は少なくなります。

稀に、どちらも頑張れる人がいますが、
そういう人は家庭などのプライベートを犠牲にしています(^^;)

学会などでは無名だけど
ウデの良い医師というのをたくさん見てきました。

(『仮病の見抜き方』1)という医師の書いた本があります。
その中で著者は、ほとんどの医師に診断できなかった稀な疾患を
簡単に言い当ててしまうような無名の名医が、
在野にいると言及しています。)

良い医者の口コミこそネットに書き込もう

結局、ウデの良い医者に関しての情報は、
その医者に近い立場にいる人ほど正確な情報を持っているということになりますね。

ただし、少なくとも親切な医者という観点では、
医者以外の医療関係者や、
その医師にかかったことのある患者さん、
すなわち少しでも内部に入った人の情報が信頼できるかと。

ただし、最近は現実の人間同士の口コミより、
ネットの口コミの方が手に入りやすいですよね。

ネットの口コミでは、受診して満足した人より、
不満を感じた人の方が書き込まれやすいようです。

良い医者をみんなが見つけられるように、
この医者は良かったという情報こそ積極的に書いてあげるのが、
今後の社会では重要かもしれませんねっ。

というわけで、
自分のことを棚に上げて書き連ねてきましたが、
身を引き締めて仕事に励みたいと思います!

最後まで読んでくださって、
(やさしく)ありがとうございました!!!

参考文献
1)仮病の見抜き方:國松 淳和 著

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