腰痛になったら、いつ病院にかかるべきか ~注意すべき疾患と兆候

せぼねの話

こんにちは!
ドクターコンちゃんです!

さて今回は、
腰痛になったらいつ受診した方が良いかというお話です。

もちろん、めちゃくちゃ痛くて
市販の痛み止めでも治まらなければ
病院で痛み止めもらうためにも
早く受診していいのですが(^^;)

そこまでではないけど痛いのは痛いという場合、
受診した方がよいかどうか、
という判断の助けになればと思います。

ほとんどの腰痛は1か月~1か月半で自然に治る

腰痛の原因は多数ありますが、
重篤な疾患でない場合の
いわゆる腰痛症と呼ばれるものはほとんど、

1か月から1か月半(4~6週)で自然に治ります!

なので
医療機関を受診する暇がない忙しい人は、
まずは市販の痛み止めを使って
治まるかどうか
様子を見ることもできます。

逆に、1か月半以上経っても治らない腰痛ということは
何か大きな疾患が潜んでいる可能性もある
というコトです。

そのため、忙しい方でも、
1か月以上痛みが続く場合は
医療機関受診をおススメします。

また、発症当初に受診していたとしても
1か月以上痛みが続く場合は
もう一度受診することをおススメします

ただ、
1か月と待たずとも受診した方が良い
疾患のこともあります

脚の痛みやしびれがある場合は早く受診しよう

背骨(脊椎)の中心部は神経の通り道(脊柱管)となっており、
腰の背骨(腰椎)では脚に行く神経が通っています。

腰痛と一緒に、脚の痛みやしびれがあるということは、脚の神経が押される疾患(腰椎椎間板ヘルニアや腰部脊柱管狭窄症など)である可能性があるので、受診して診断をつけてもらった方がよいと思います。

腰椎を横から見た図
腰椎を後ろから見た図

腰痛だけの場合でも、Red Flagsに注意

脚の症状が無くて、腰痛だけの場合でも
早く受診した方が良い疾患があります。

医療機関を受診して
正しく診断、治療を受けないといけない主な疾患は、

  • 悪性腫瘍
  • 感染
  • 骨折

です。

これらは
1か月様子を見てからではなく
早く受診した方が良いことになります。

では、どんな人がこういう重篤な疾患の可能性が
高くなるのでしょうか。

これら重篤な疾患である可能性を
ある程度予測するための
Red Flagsと言われるものがあります。

(あくまでボクら臨床医が腰痛患者さんを見た時に
重篤な疾患を想起するためのものですが、参考までに(^^;))

Red Flags(危険信号)

  1. 発症年齢<20歳または>55歳
  2. 時間や活動性に関係のない腰痛
  3. 胸部痛
  4. 癌、ステロイド治療、HIV感染の既往
  5. 栄養不良
  6. 体重減少
  7. 広範囲に及ぶ神経症状
  8. 構築性脊柱変形
  9. 発熱

簡単にそれぞれの項目について説明します。

1.発症年齢<20歳または>55歳

20歳未満

そもそも腰痛は成人ではありきたりな症状ですが、
20歳未満の人は比較的少ないです。
20歳未満の場合、スポーツでよく起きる
腰椎分離症という疲労骨折の一種や、
それがさらに悪くなり骨がずれてくる
分離すべり症というものがあります。

また、腰椎椎間板ヘルニアも若年者によく見られますが、
これは脚の痛みやしびれを伴うことが多いです。

他に、稀ではありますが
白血病などの悪性腫瘍が腰痛で発症したり
強直性脊椎炎という病気もあります。

55歳より上

55歳より上の年齢では
悪性腫瘍にかかっている可能性が上がります。
その中でも特に多いのは転移性腫瘍と言って
他の内臓にある癌が脊椎に転移して腰痛を起こすものです。

また特に女性では骨粗鬆症になっている可能性もあり
骨が脆いせいで起きる、脊椎圧迫骨折の危険性が上がります。

2.時間や活動性に関係のない腰痛

通常の腰痛は、横になって安静にしていると楽で、
立ち上がったり腰を曲げたりする動きで痛みが強くなるコトが多いです。

横になっていても痛いというのは
悪性腫瘍や、
細菌がせぼねで増殖する感染化膿性椎間板炎や化膿性脊椎炎
の可能性も出てきます。

もちろんひどい骨折であっても痛みは強いです。

3.胸部痛

そもそも胸が痛いとなったら、
心筋梗塞、大動脈解離など
命の危険もある疾患が想定されるので
内科を受診した方が良いのではと思います。

ただ、胸椎圧迫骨折悪性腫瘍
肋骨部の痛みも出ることはあります。

4.癌、ステロイド治療、HIV感染の既往

過去に癌の既往があると
脊椎に転移性腫瘍が起きている可能性があります。

ステロイド治療やHIV感染は
細菌に対する抵抗力が落ちますので
脊椎の感染(化膿性椎間板炎、化膿性脊椎炎など)の
危険性が高まります。

5.栄養不良

食欲がなくなっている状態は
悪性腫瘍感染にかかっている可能性が高くなります。

また、しっかり栄養が摂れていないと
それだけで体の抵抗力が下がり
感染のリスクも上がります。

さらに、骨粗鬆症にもなりやすく
脊椎圧迫骨折の危険性も高まります。

6.体重減少

ダイエットしているわけでもないのに
自然に体重が減っていると、
悪性腫瘍感染の可能性が出てきます。

また過度なダイエットは
骨粗鬆症のリスクも上がるので
脊椎圧迫骨折を起こしやすくなります。

7.広範囲に及ぶ神経症状

先ほども述べましたが
脚の痛みやしびれといった神経症状がある時点で
受診して頂いた方がよいです。

ここで言われている広範囲に及ぶ神経症状とは
典型的には、両脚全体のしびれ、痛み、力が入りにくい
といった症状です。

よくある腰椎椎間板ヘルニアや
腰部脊柱管狭窄症で説明がつかないような症状の場合、
脊椎の腫瘍感染のために
脊柱管が強く圧迫されていることがあり、
ボクらもたまにそういう患者さんを経験します。

8.構築性脊柱変形

これは、姿勢が悪いワケではなく
背骨自体が曲がってしまい
姿勢を正すことができない状態です。

特に猫背のように
前に曲がってしまうもの(後彎症と言います)が問題と思われますが、
これはもちろん年齢による変化のこともあります。

ただ、脊椎圧迫骨折感染によって
背骨の一部の構造が壊れてしまっているのが
原因のこともあります。

9.発熱

発熱がある場合は
感染の可能性が高くなります。
(最近では熱があるだけで、まず内科受診になると思いますが)

38℃以上であればかなり要注意ですが
37℃台前半でも
長く続く腰痛と発熱の場合、
感染であったことがあります。

また、腫瘍熱と言って
悪性腫瘍で熱が出ることもあります。

まとめ

以上、説明してみましたが
一般の人がこれらの項目をすべてチェックして受診するというのは
あまり現実的ではありません(^^;)

まとめると
一般の人向けには、以下の項目にあてはまれば
受診した方が良いと思います。

  • 脚の痛みやしびれもある場合
  • 安静時も腰痛がある場合
  • 発熱もある場合
  • 1か月以上痛みが続く場合

ただ、重篤な疾患であっても
症状から判断するのが難しいことも多く
発症から間もない時は
レントゲン写真やMRIでも
見つけられないこともあります。

実際に、
しばらく経過を見て
改めて検査をして初めて診断がついた例も
少なくありません。

というワケで
まずは痛み止めで様子を見ても良いですが、
長く続く腰痛については
専門医に診てもらった方が良いと思います。

最後まで読んでくださって、
ありがとうございました~!!!

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